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検査データとヒューマンエラー

 

分析機器等から吐き出される生の検査データ或いは検査員が報告する手書きの測定値などが集積し、検査報告書に記載され発行承認されるまでには多くのチェック工程を経て報告がなされています。

分析手順や分析法自体の正確性・信頼性確保するためには、全て標準化したマニュアルにより担保しているわけですが、生のデータから検査報告書の報告値となるまでには、様々な計算処理、転記処理が施されているのが実情です。

現代は、コンピュータ全盛の時代であり、分析機器の大半にはコンピュータが接続されていますので、全てのフローを任せてしまえばよいのではないかと思われるかもしれませんが、未だにヒトが介在せざるを得ないのが検査なのです。

出版物の校正と比較して

 

検査報告書のチェック工程は、同じ印刷物でもある出版物の校正とよく似ています。

出版物の校正についてご説明しますと、

書籍や雑誌などの出版物として商品化される前には、必ず出版原稿の校正が行われます。

校正手順は、著者の原稿を試し刷りした校正刷り(ゲラ刷り)の内容を、原稿とつきあわせて確認することから始まります。

校正は原稿に忠実に印刷されているかどうかを確認することが原則ですが、著者の書き間違いや勘違いによる誤記を正したり、著者に確認を求めたりする場合もあり、原稿との付き合わせを超える部分は「校閲」と呼ばれます。

誤植は、印刷原版を修正して差し替えて新たなゲラ刷りとなり、更に再校とよばれる校正がなされ、慎重を期するときは三校以上が重ねられます。

このように、出版にあたっては誤植やその他の誤りを追放する努力が重ねられているのですが、どんなに精密な校正を行ったとしても誤植を見落としたまま出版されることがあり、出版関係者を悔しがらせています。

ヒューマンエラーとの格闘

さて、検査報告書のチェックに話を戻しますと、誤植すなわち誤報告値をゼロとするため、検査部門では様々な努力と工夫を行っています。

検査報告書のチェック工程において、まず検査員が記入した結果表の内容と印刷された検査報告書をつきあわせて複数名以上で確認します。

また、検査値そのものに疑義がある場合は検査員に確認をとって同様の校閲も実施しています。

検査値が基準値付近の濃度であったり基準値を超過している場合は、必ず再分析を実施して確認しています。

また、所定本数の試料の測定を行った後は、分析機器の妥当性を検査するために、濃度が既知の標準溶液を測定して、その測定値の誤差が許容値未満であることも確認しています。

 

分析機器の操作、機器制御やデータ処理を行うパソコン操作などにおいて操作ミスを防止するため、標準作業手順書に従って操作を行います。

この操作自体を的確に行うには操作自体の確認工程が必要になりますので、確認した操作を作業記録簿に逐次記録しています。

 

ここで、確認動作の一例として、電車の運転手が信号などを指差して時々声を出して確認している「指差し呼称」があります。

 

 鉄道総合研究所による指差し呼称に関する押し誤りの実験報告によると・・・

 ・何もせずただ押した場合、押し誤り率は 2.38%

 ・声による呼称を加た場合、押し誤り率は 1.0%

 ・指差しのみの場合、押し誤り率は 0.75%

 ・指差しと声だし呼称の両方の場合、押し誤り率は 0.38

  誤り率は1/6にまで減少します。

手間も時間もかからず、ヒューマンエラーを減少させることができますので、機器操作の初心者は、指差し呼称を義務付けすると非常に効果があるものと思います。

また、複数人でこの確認をすれば飛躍的にエラーを防止することができるでしょう。

 

このように、誤報告を無くするために、日々、工夫・努力を重ねていますが、出版物の校正と同様に、考えられないような偶発ミスが重なって誤った報告値が外部で出てしまうことが数万件に1件程度発生することがあります。

こうしたヒューマンエラーに起因する誤りは無くならないものと諦めてしまっては進歩がありませんので、一つ一つの事案に対して原因を追究し、根気よく是正対策を重ねて頑健性のあるシステムを構築していくことが検査機関に課せられた義務であると思っています。