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カンピロバクター食中毒

 

カンピロバクターは家畜の流産や腸炎の原因菌として注目されていた細菌でニワトリ、ウシ、などの家禽類をはじめ、ペット、野鳥、野生動物など様々な動物が保菌しています。

ヒトは、アメリカにおいて飲料水を介して約2000人 が感染する事例が発生し、わが国も1982年に食品衛生法で食中毒 起因菌として指定されました。

カンピロバクター

ヒトに食中毒を起こす菌種として、カンピロバクター・ ジェジュニとカンピロバクター・コリが知られていますが、実際に食中毒の原因として検出されているのは大半がカンピロバクター・ジェジュニです。

カンピロバクターと言う名の語源はギリシャ語のcampylo(カーブした)とbacter(棍棒)という意味に由来しています。

カンピロバクターは開発途上国、先進国を問わず、全世界的に発生が見られ、細菌性腸炎の10~20%を占めるといわれており、特に小児に発症頻度が高いようです。

 

特徴

最近ではノロウイルスによる食中毒が最多ですが、以前は腸炎ビブリオ、サルモネラ、カンピロバクター によるものが主でした。

厚生労働省の2013年統計(食中毒発生状況、速報値) によると、食中毒件数は931件(20.802人 死者1名)と報告されています。これは、全国の保健所が調査し、医師が食中毒と診断した人を集計した数です。

食中毒があっても未届のケース、ノロウイルスのように人からの感染で食中毒でないと診断されたり感染原因が不明の人もあり、現実は、統計数の数十倍の人が食中毒菌やウイルスに罹り食中毒を発症していると考えられています。

そして、食中毒発生件数227件(1.551人)と食中毒件数の24.3%を占めるのが食中毒菌のカンピロバクターです。

カンピロバクター食中毒は、他の細菌性食中毒がピークとなる夏期(7~9月) よりやや早い5~7月にピークが見られ、サルモネラなど細菌性食中毒の発生が少ない冬期にも発生が認められています。

カンピロバクターの特徴は、100個程度の菌数で食中毒を引き起こすこと、 人や動物の腸管内で増殖しやすい微好気性(少し酸素がある状態)であり、通常の大気中や完全な 真空状態では増殖できないことなどがあげられます。

また、潜伏期間が2~10日と他の食中毒と比較して長く、患者数について単数事例が 多いのも特徴の一つです。

 

食中毒原因

カンピロバクターは、サルモネラと同じように鶏や牛、豚などの家畜や、犬などのペット類の腸管内に分布しています。そして、これらの動物の糞便に汚染された肉や水を介して食中毒を引き起こします。

特に鶏の保菌率は特に高く、食中毒の原因が判明したのは多くは鶏料理で、鶏の刺身やタタキ、レバー等生の喫食で発症しています。

市販の鶏肉は、50%以上がカンピロバクターに汚染されているという報告もあります。

その他に、生肉の生食や、バーベキューや焼き肉の加熱不足、井戸水・湧水、鶏肉や食肉から2次汚染を受けたサラダ、簡易水道の消毒不備による水系感染などがあります。

 

症状

症状としては、腹痛、下痢、発熱、頭痛で、多くの患者の方は1週間程度で治癒します。

まれに合併症として、敗血症、菌欠症、髄膜炎、ギラン・バレー症候群、ミラー・フィッシャ症候群を発症することがあります。

死亡例や重篤例は稀ですが、若齢者、高齢者、抵抗力の弱い人は重症化の 可能性が高くなる場合があり、注意が必要です。

 

カンピロバクター食中毒予防ポイント

食品を調理するときは十分に加熱すること(中心温度75℃以上で1分間以上加熱)。

包丁・まな板は熱湯により消毒し、よく乾燥させること。

生肉を扱った包丁・まな板などの調理器具は、専用のものを使用し、食品を汚染しないように使い分けること。

生肉を取り扱った後は、手指の洗浄・消毒を必ず行うこと。

焼肉やバーベキューの際は、生肉を取り扱う「はし」と食べる「はし」を使い分けること。

生肉を冷蔵庫で保存するときは、ビニール袋や容器に入れ、他の食品に接触して汚染しないようにすること。

ビルやマンションの貯水槽は周辺を清潔にし、ハトなどのフンが入らないようにするなど適正に管理すること。

井戸水や沢水は動物のフンに汚染されている場合があるので、塩素消毒や沸騰させてから使用すること。

 

 

食品や器具等の取り扱いには細心の注意を払い、食中毒事故を引き起こすことのないように気を付けていただきたいと思います。