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食中毒の定義

食中毒の定義

食中毒の定義づけに関しては、食品衛生法第63条に食品、添加物、器具若しくは容器包装に起因して中毒した患者若しくはその疑いのある者を食中毒患者等と記載しており、このような症状の患者を診断した医師は直ちに最寄りの保健所長に届け出なければならないと定められています。すなわち、食品、添加物、器具、叉は容器包装に含まれた叉は付着した微生物、化学物質、自然毒等を摂取することによって起きる衛生上の危害です。

食中毒の原因物質

下記に示すような原因物質があります。細菌では食品とともに取り込まれ腸内で増殖することにより食中毒を起こす感染型と、食品内で増殖、毒素を産生し、その毒素により食中毒を起こす毒素型の2つに分類されます。発生件数の多いのは最近ではほとんどが微生物(細菌、ウイルス)による食中毒で、細菌ではカンピロバクター、サルモネラ、ウイルスではノロウイルスなどです。また、秋には自然毒での毒キノコによる食中毒も多く発生します。

(詳細は食中毒の発生状況を参照ください)

 

 食中毒原因物質の種類

 細菌(感染型)

 サルモネラ、赤痢菌、カンピロバクター、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌

 腸管出血性大腸菌、セレウス菌(下痢型)など

 細菌(毒素型)  ブドウ球菌、ボツリヌス菌、セレウス菌(嘔吐型)など

 ウイルス

 ノロウイルス、ロタウイルス、A型肝炎ウイルスなど
 真菌  マイコトキシン産生真菌
 原虫  ジアルジア、クリプトスポリジウム、クドアなど
 寄生虫  アニサキス、日本海裂頭条虫など
 自然毒(動物性)  フグ、毒かます、貝毒など
 自然毒(植物性)  毒きのこ、じゃがいもの芽、どくぜりなど
 化学物質  殺そ剤、農薬、微量重金属(ひ素、鉛など)、油脂の酸敗
 アレルギー様  ヒスタミン(さんまのみりん干しなど)

サルモネラ属菌

[特徴]

哺乳類、爬虫類、両生類、鳥類を含む自然界の動物の腸内にいる細菌です。ヒトへは主に汚染された鶏卵、鶏、豚、牛等の食肉およびその加工品などを摂取することにより感染します(感染型)。また、ミドリガメ等ペットからの感染も報告されています。乾燥にも強く、イカ乾燥品が原因となる大規模食中毒の発生もありました。サルモネラによる食中毒は夏季に多くみられます。

[症状]

発病までは8〜48時間、腹痛、下痢、嘔吐、発熱があります。

長期にわたり保菌者となることもあります。

[予防]

生肉調理時の器具、手指から他の食品等への汚染(二次汚染)の防止。

調理後の十分な洗浄・消毒。

卵や生肉は10℃以下に低温保存する。

食肉や生レバーの生食は厳禁で75℃1分間以上の加熱調理する。

生卵は食べないほうがよい。

ペット類を世話した後の手洗い厳守。

 

ブドウ球菌

[特徴]

ブドウの房状の球菌でヒト、動物の皮膚、粘膜に広く分布、塩分濃度がある程度(7.5%)高くても発育します。食中毒はブドウ球菌が食品内で増殖、産生された腸管毒(エンテロトキシン、100℃、30分でも壊れない耐熱性の毒素)を食品とともに摂取することで起こります(毒素型)。おにぎり等の穀類加工品、弁当、調理パン、生菓子類、乳製品( 牛乳、クリームなど)などが原因食品となります。

[症状]

1〜5時間(平均3時間)と短時間で発症します。嘔吐が主症状、吐き気、腹痛、下痢など。

[予防]

手指の洗浄、手荒れや化膿巣のある人は調理取り扱いの禁止。

食品の低温管理、保存の徹底。

 

ボツリヌス菌

[特徴]

自然界(土壌など)に広く分布し、動物の腸管内にも存在します。芽胞を形成するため、通常の加熱調理においても菌は死滅しません。また、酸素がないところでのみ発育します。食品中で神経を麻痺させる毒素(80℃、20分に耐える)を産生し(毒素型)、食品とともに摂取することで食中毒が発生します。ハム、ソーセージ等包装詰

食肉製品、いずしなど魚肉製品、野菜類を材料とした発酵食品、びん詰、缶詰、レトルト食品、真空パック食品(からしレンコンなど)が原因となります。また、1歳未満の乳児ははちみつが原因で食中毒の起こることもあります。

[症状]

潜伏期は8時間から36時間、吐き気、嘔吐、頭痛、言語障害、視力障害、嚥下障害、呼吸困難、乳児では便秘することもあります。致死率(20%)が高いため、抗毒素血清による治療を早期開始しなければ死にいたることもあります。

[予防]

容器膨張の缶詰、真空パック食品は飲食しない。

低温保存(下記参照)と喫食前十分な加熱(100℃、数分間)。

1歳未満の乳児には、はちみつを与えない。

容器包装詰低酸性食品(容器包装に密封した常温流通食品のうち、pHが4.6を超え、かつ、水分活性が0.94を超えるもの)にあっては加熱が十分でないもの(120℃、4分間)もあるため冷蔵保存を厳守。

 

腸炎ビブリオ

[特徴]

海水中に生息、水温が高くなる夏季によく増殖します。真水中での増殖困難であり、塩分2〜5%で発育良好となります。増殖速度は極めて速く、環境条件さえよければ3時間程度で食中毒を起こすほどの菌量(106~107個)なります(感染型)。魚介類およびその加工品、それらに二次汚染された食品、多くは生食用の刺身から感染します。また、腸炎ビブリオによる食中毒は夏季に限定して発生します。

[症状]

発病まで平均12時間。腹痛、激しい下痢、吐き気、嘔吐、発熱。

[予防]

魚介類は真水でよく洗浄。魚介類を取り扱った調理器具、手指は十分に洗浄・消毒し、二次汚染を防止。

10℃以下の低温保存。

調理から喫食まで2時間以内が望ましい。

魚介類は可能な限り65℃1分間以上の加熱処理。

 

腸管出血性大腸菌

[特徴]

腸管出血性大腸菌とは、ベロ毒素(志賀毒素ともいいます。毒素はVT1(Stx1)とVT2(Stx2)の2種類に分類されます)と呼ばれている毒素を産生する大腸菌です。大腸菌は血清型に分類できますが、腸管出血性大腸菌は多くの血清型に属しO157、O26、O111などが有名です。O157は1990年埼玉県浦和市の幼稚園でのものが最初であり、1996年には大阪府堺市の小学校の学校給食による大規模食中毒による事例、O111については2011年飲食チェーン店えびすによる事例などいずれも亡くなられた方がおられます。家畜、特に牛の腸内に常在しており、多くは加熱不十分な食肉を摂取することにより食中毒が起こります。非常に少ない菌量で発症し、また、食品以外からもヒトからヒトへの感染も起こります。乳幼児、小児は成人に比べて重症になり、溶血性尿毒症症候群となることもあります。腸管出血性大腸菌感染症は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」で3類感染症に分類され、患者及び無症状病原体保有者は特定の職業(食品の取り扱い)への就業が制限されています。

 

溶血性貧血[赤血球が壊れて 貧血がおこる]、血小板減少[血小板が多量に消費されて少なくなる]および急性腎不全[ 腎臓の働きが急速に低下する]などの症状があらわれます。

[症状]

潜伏期間は3-5日、激しい腹痛、下痢、水様便、後に血便(血液がそのまま出ているような状態になる)、軽度の発熱、重篤になると数日後に溶血性尿毒症症候群となり、さらには死に至ることもあります。乳幼児、小児、高齢者は特に重症になりやすい。

 

[予防]

食肉や生レバーの生食は厳禁、乳幼児、小児、高齢者は特に注意。

生肉調理時の器具、手指から他の食品等への汚染(二次汚染)の防止。

生野菜はよく洗浄する。

調理後の十分な洗浄・消毒。

卵や生肉は10℃以下に低温保存する。

ハンバーグ、ミンチカツ等食肉製品は中心まで75℃1分間以上の加熱調理する。

手指をよく洗う。

 

その他の病原大腸菌

[特徴]と[症状]

腸管出血性大腸菌以外のその他の病原大腸菌には以下の種類があります。

毒素原性大腸菌---------------------エンテロトキシンを産生。激しい水様性の下痢、脱水症状を起こす。旅行者下痢症患者からよく検出されます。

腸管侵入性大腸菌-------------------腸細胞内に侵入、赤痢菌と類似の血便、腹痛、発熱などの症状。ヒトからヒトへの感染。

腸管病原性大腸菌-------------------サルモネラと類似の下痢、腹痛、発熱などの症状。

腸管集合(凝集) 性大腸菌------------腸細胞に付着、エンテロトキシンを産生、持続性下痢からよく検出されます。

拡散付着(分散接着)性大腸菌---------腸細胞に付着、下痢、腹痛

細胞致死膨化毒素産生性大腸菌-------細胞膨化致死毒素産生、下痢、腹痛

 

毒素原性大腸菌は水系感染が多く、海外、特に開発途上国での生水飲用で感染することがあるので注意が必要です。

[予防]

腸管出血性大腸菌と同様です。

ウエルシュ菌

[特徴]

動物の腸管内や土壌中に生息しています。酸素がないところでのみ発育します(嫌気性)。芽胞を形成するため、通常の加熱調理においても菌は死滅しません。食肉、魚介類、野菜を材料とした煮込み料理、大量調理されたカレー弁当、仕出し、スープなどが原因食品となります(感染型)。大規模な食中毒となることが多い。

[症状]

発病まで8〜12時間、下痢、腹痛(嘔吐や発熱はない)。一般的には軽症です。

[予防]

食肉、魚介類、野菜などは十分加熱調理してすみやかに喫食。

調理後保存する場合は短時間で冷却して低温保存する。

弁当・仕出しなど大量調理は要注意。

保存した食品は可能なかぎり十分な再加熱をする。

 

セレウス菌

[特徴]

自然界(土壌など)に広く分布し、芽胞を形成するため、通常の加熱調理においても菌は死滅しません。食中毒には嘔吐型(毒素型)と下痢型(感染型)の2つのタイプがあります。嘔吐型はわが国に多く、ブドウ球菌と同様、食品内でセレウス菌が増殖、産生された嘔吐毒を食品とともに摂取することで起こり、焼き飯などの米飯類、スパゲティなどの麺類などが原因食品となります。下痢型は欧州に多く、食品とともに摂取されたセレウス菌が腸管内で腸管毒を産生することで起こり、食肉、野菜、弁当、スープなどが原因食品となります。

[症状]

嘔吐型は30分〜5時間後に吐き気、嘔吐、下痢型は8〜15時間後に下痢、腹痛が主症状となります。

[予防]

加熱調理に安心して長時間室温放置しないで早く食べるか、冷蔵保存する。

一度に大量の米飯やめん類を作り置きしない。

 

カンピロバクター・ジェジュニ/コリ

[特徴]

家畜、家禽、ペットなど多くの動物が保菌しています。乾燥に弱く、大気中で増殖不能であり、5〜10%の酸素環境で増殖します。発育温度域は34~43℃で一般の細菌に比べ高い。少量菌で食中毒をおこすため、注意が必要です(感染型)。鶏肉およびその加工品が関係した食中毒が多く、また、未消毒の井戸水が感染源となることもあります。一年を通して発生しますが、春の終わりから夏の初めに多い傾向がみられます。

[症状]

発病までは平均2〜3日と長めです。下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感 、血便など、まれに後遺症としてギランバレー症候群を発症します。

末梢神経の髄鞘部分が障害される病気で、主に筋肉を動かす運動神経がおかされ、四肢に力が入らなくなります。

[予防]

鶏肉調理時の調理器具や手指などを介した生食野菜・サラダへの二次汚染防止。

調理後の器具の十分な洗浄・消毒、乾燥による二次汚染防止。

生肉と調理済み食品は別々に保存。

調理時の十分な加熱処理(75℃で1分間以上)。

井戸水の塩素消毒。

生肉料理(トリ刺し、レバ刺し等)の喫食は避ける。

ペットの衛生的管理。

ノロウイルス

[特徴]

小型球形のウイルスで大腸菌の百分の一程度の大きさです。汚染している食品(生カキがよく知られていますが、パンや饅頭など多くの食品)、器具、水など、あるいは感染者(保有者)である調理従事者が食品等を汚染する場合またはヒトからヒトへ感染者の手指等を介してあるいは排泄物、吐物により感染する場合などがあります。ノロウイルスの感染力は強く少量でヒトへの感染が可能です。また、他のウイルスに比べて環境に対する抵抗性があり、熱(60℃30分)、酸(pH2.7、3時間)、塩素(10ppm)に耐えます。ノロウイルス食中毒は冬季に多発し、食中毒患者数の年間統計では常に一番多い原因物質となっています。

[症状]

潜伏時間は24〜48時間、下痢、嘔吐が主症状です。臨床症状がなくなった後も2週間程度ウイルスの排泄が続くこともあります。

[予防]

食品の中心温度は85℃、1分以上の加熱が必要。

帰宅後、食事前、トイレ後の手洗いの慣行。

食品取扱い業者は下痢、嘔吐の症状があれば症状が治まるまで食品を直接取り扱わない。

 

動物性自然毒 ふぐ

[特徴]

動物性自然毒による食中毒の大部分はフグ中毒で、毎年数名が亡くなっています。ふぐの毒はテトロドトキシンで神経麻痺の作用があります。ふぐは厚生省通知で食用にできる種類や漁獲場所および食べられる部位が決められています。また、同じ種類のふぐでも、季節や個体によって毒の強弱に大きな差があります。特に、卵巣や肝臓は毒力が強く、毒は煮たり焼いたりの加熱ではなくならないので注意が必要です。

[症状]

食後20分~3時間で唇、舌先、指先のしびれ。次いで歩行困難、嘔吐、言語障害、呼吸困難、血圧低下。呼吸麻痺までいけば死亡(致死までの時間は4~8時間)します。

[予防]

素人が釣ったふぐを家庭で調理しないこと。

許可を受けた店、施設で処理されたものを喫食、購入する。

 

植物性自然毒 毒きのこ

[特徴]

毒きのこによる食中毒は秋(9月から11月)を中心に全国各地の家庭で起こります。年により発生件数に変動がみられ、毎年40件程度ですが2010年は約90件の発生がありました。

[症状]

肝臓、腎臓の組織が破壊されるタイプ(ドクツルタケ等)、胃腸に作用するタイプ(ツキヨタケ、クサウラベニタケ等)、中枢神経に作用するタイプ(ベニテングダケ等)、自律神経に作用するタイプ(ヒトヨタケ等)、急性脳症を起こすと思われるタイプ(スギヒラタケ等)があります。

[予防]

知らないきのこは採らないこと。また、絶対に食べないこと。

食べられるきのこの特徴を完全に覚えること。

言い伝えや迷信は疑うこと。

 

原虫 クドア

[特徴]

2011年、厚生労働省によって新種の寄生虫クドア・セプテンプンクタータ(粘液胞子虫の一種)が食中毒原因物質としてとり扱われる事となりました。ヒラメの筋肉内に寄生し、ヒトへは主に養殖ヒラメを生食することによって起こります。クドアによる食中毒は2011年の半年間に全国で33件の発生をみました。最近、厚生労働省は生食用生鮮ヒラメの筋肉1グラム当たりクドアの胞子数が1.0×106 個を超えることが確認された場合は食品衛生法違反となることを関係事業者等へ通知しました。

[症状]

潜伏期は数時間(2時間から22時間)、下痢、嘔吐、一般的には軽症です。

[予防]

-16~-20℃ 4時間の凍結処理。

中心温度75℃で5分以上の加熱。