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感染症と遺伝子検査

 

dna  

現在、新型のウイルスが検出され、世界的にも感染症が問題となっています。

新型ウイルスの出現は、ウイルスの突然変異にあります。

ウイルスは通常個々の性状を持っていますが、他のウイルスを取り込み、取り込んだウイルスの性質も同時に持って別のウイルスになるというものです。

例えば、人に感染し易いが人体に対して軽症のウイルスAと、人には感染しにくいが人体に対して重症となるウイルスBがあるとします。

そして、ウイルスAがウイルスBを取り込んだ場合、人に感染し易く、人体に対して悪影響を及ぼすウイルスが検出される可能性があるということです。

新型ウイルスに感染した場合、治療のため早急かつ正確な検査が必要となります。

ウイルスは、細菌と培養の方法が異なり、細菌検査のように培地を使って培養することはできません。

ウイルスは、細菌のように細胞分裂で増えるのではなく、生きた細胞の酵素を使った長時間の培養が必要になります。

そこで、迅速かつ正確なウイルス検査として、遺伝子増幅法が注目されています。

 

遺伝子増幅法とは

近年、身近に遺伝子検査が用いられているということは、皆さんご存知かと思います。

臨床検査分野においても、様々な遺伝子検査が取り入れられていますが、なぜ遺伝子検査が行われるのでしょうか。

検査目的としては、次のような点があげられます。

  ① 感染症の診断
   ・培養困難な病原体の検出(ウイルスなど)
   ・培養、同定に時間のかかる病原菌(結核菌など)
   ・遺伝子型による疫学調査(どこ由来の菌なのか)

 

  ② 遺伝病の検査
   ・糖尿病、ダウン症候群など

 

  ③ 癌関連遺伝子の異常の解析

 

  ④ 個人識別
   ・親子鑑別、移植の検査など

 

ここでは、①の『感染症の診断』を目的とした遺伝子検査についてご説明します。

感染症の確定検査に用いられてきたのは、培養同定法でした。

病原微生物の「ゲノム核酸の検出」を行う遺伝子検査では、感度・特異性が高く培養を必要としません。

そのため、培養法が未確立あるいは培養に時間がかかる、従来法により同定不可能な病原微生物などの検査法として、その実用化が進んでいます。

また、分離された微生物の同定や病原遺伝子の検出のみならず、患者検体からも直接病原微生物を検出することができます。

 

遺伝子診断の適応としては、下記の感染症があげられます。

 

対象とする微生物
① 培養不可能または培養困難な病原体の検出 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、らい菌、ニューモシスチス・カリニ、赤痢アメーバなど

 

② 分離や同定に時間を要する病原体の検出 抗酸菌、レジオネラ、マイコプラズマ、レプトスピラ、クラミジア、リケッチア、ウイルスなど

 

③ 型判定による診断、モニタリング C型肝炎ウイルス(HCV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、ヒトパピローマウイルスなど

 

④ 致死的感染症のwindow period、無症候性キャリアの検索 HIV、HBV、HCV、ヒトTリンパ球向性ウイルス(HTLV-1)など

 

⑤ 移植後の感染症の診断、モニタリング サイトメガロウイルス(CMV)など

 

⑥ 病原遺伝子、耐性遺伝子の検出 病原性大腸菌のベロ毒素遺伝子、コレラ毒素遺伝子、腸炎ビブリオの耐熱性溶血毒素遺伝子、MRSAのmec A遺伝子など

 

遺伝子は、細菌やウイルスを含めすべての生物に存在しています。

臨床学的には、遺伝子増幅法によって遺伝子のDNA(もしくはRNA)を増幅し、迅速に同定することができます。

遺伝子増幅法には、PCR法、TRC法(核酸増幅技術)、LAMP法などの種類があります。

中でも、当社では2005年よりLAMP法を用いたレジオネラ検査、ノロウイルス検査を導入しており、精度の高い信頼される結果を迅速に提供するうえで、重要な手法となっております。

他にLAMP法が可能な病原体には、クリプトスポリジウム、ジアルジア、サルモネラ、ベロ毒素、O157、2003年に世界を震撼させたSARSコロナウイルスなどがあります。

目的とする病原体の遺伝子配列が解明されることによって迅速な検査が可能なため、新型ウイルスの感染症においても遺伝子増幅法が重視されていくものと考えられます。

 

<参考文献>
臨床検査学講座 遺伝子・染色体検査学(医歯薬出版)
臨床検査学講座 微生物学/臨床微生物学(医歯薬出版)