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水質管理目標設定項目について

 

水道水の安全性を確保するために、水道法では「水質基準項目」が定められており、水質基準の適否で飲用の可否が判定されます。この水質基準を補完する項目として「水質管理目標設定項目」が設定されています。

水質管理目標設定項目の持つ意味は【将来にわたり水道水の安全性の確保等に万全を期する見地から、水道事業者等において水質基準に係る検査に準じて、体系的・組織的な監視によりその検出状況を把握し、水道水質管理上留意すべき項目】とされており、より質の高い水道水を供給するための目標値、と考えると分かりやすいかと思います。

目標値超もしくは目標範囲外の項目があっても直ちに飲用不可とはなりませんが、採水場所・地域の特性(地質・環境)により、検出されやすい、あるいは目標範囲から外れやすい項目はあります。

 

水質管理目標設定項目と目標値(27項目140物質) ※2021年4月1日より

水道水中での検出の可能性があるなど、水質管理上留意すべき項目です。

次表が水質管理目標設定項目の一覧およびその目標値です。

水質管理目標設定項目(27項目)

番号

項目

目標値

1

 アンチモン及びその化合物

 アンチモンの量に関して、0.02mg/L以下

2

 ウラン及びその化合物

 ウランの量に関して、0.002mg/L以下(暫定)

3

 ニッケル及びその化合物

 ニッケルの量に関して、0.02mg/L以下(暫定)

4

 削除

 

5

 1,2-ジクロロエタン

 0.004mg/L以下

6

 削除

 削除

7

 削除

 削除

8

 トルエン

 0.4mg/L以下

9

 フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)

 0.08mg/L以下

10

 亜塩素酸

 0.6mg/L以下

11

 削除

 削除

12

 二酸化塩素

 0.6mg/L以下

13

 ジクロロアセトニトリル

 0.01mg/L以下(暫定)

14

 抱水クロラール

 0.02mg/L以下(暫定)

15

 農薬類

 検出値と目標値の比の和として、1以下

16

 残留塩素

 1mg/L以下

17

 カルシウム、マグネシウム等(硬度)

 10mg/L以上100mg/L以下

18

 マンガン及びその化合物

 マンガンの量に関して、0.01mg/L以下

19

 遊離炭酸

 20mg/L以下

20

 1,1,1-トリクロロエタン

 0.3mg/L以下

21

 メチル-t-ブチルエーテル

 0.02mg/L以下

22

 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)

 3mg/L以下

23

 臭気強度(TON)

 3以下

24

 蒸発残留物

 30mg/L以上200mg/L以下

25

 濁度

 1度以下

26

 pH値

 7.5程度

27

 腐食性(ランゲリア指数)

 ‐1程度以上とし、極力0に近づける

28

 従属栄養細菌

 1mLの検水で形成される集落数が2,000以下(暫定)

29

 1,1-ジクロロエチレン

 0.1mg/L以下

30

 アルミニウム及びその化合物

 アルミニウムの量に関して、0.1mg/L以下

31

 ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS) 及び

 ペルフルオロオクタン酸(PFOA)

 ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の

 和として、0.00005mg/L以下(暫定)

※№31.「ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)」は、2021年4月1日追加。

各項目の解説

1、アンチモン及びその化合物

アンチモンは半導体材料、合金などに使用されています。自然水中にはほとんど存在しません。工場排水・鉱山廃水などの混入により検出されることがあります。

 

2、ウラン及びその化合物

ごく微量に岩石や海水中にも広く分布しており、地下水などで検出されることがあります。原子力発電所の燃料としても使用されています。

 

3、ニッケル及びその化合物

ステンレスやメッキの原料として使用されています。自然水中にはほとんど存在しません。工場排水・鉱山廃水などの混入やニッケルメッキからの溶出より検出されることがあります。

 

5、1,2-ジクロロエタン

塩化ビニルの原料として使用される有機化学物質です。旧水質基準項目の一つでしたが、水道水からの検出事例がほとんどなかったことから、水質基準項目から外されました。

 

8、トルエン

シンナー、接着剤、塗料の原料として多く使用される有機化学物質です。

 

9、フタル酸ジ(2-エチルへキシル)

プラスチック等の合成樹脂に添加される可塑剤(柔軟性を持たせるための薬剤)の一種です。内分泌攪乱物質(環境ホルモン)として作用するとも考えられています。

 

10、 亜塩素酸

二酸化塩素による消毒での副生成物として生成されます。

 

12、 二酸化塩素

水の消毒剤、紙パルプ・小麦粉の漂白剤として使用されています。日本では、上下水処理に二酸化塩素を使用している実績はほとんどありません。

 

13、 ジクロロアセトニトリル

水に含まれる有機物質と塩素消毒剤が反応してできる物質(消毒副生成物)の一種です。

 

14、 抱水クロラール

水に含まれる有機物質と塩素消毒剤が反応してできる物質(消毒副生成物)の一種です。

 

15、 農薬類

田畑、ゴルフ場などで殺虫剤や除草剤などさまざまな用途に多くの種類の農薬が使用されていますが、農薬は種類が多く、毒性などがそれぞれ異なるため、物質の特定や評価が困難であることから、水道水に混入する可能性が高いと考えられた農薬114種類についてそれぞれの目標値を設定し、総農薬方式という評価方法が採用されました。

地域の状況を勘案して設定した測定対象農薬について個々の検出値とその目標値の比を求めて、比の合計が1を超えないこと、と設定されています。

 

16、 残留塩素

水中に消毒効果のある状態で残っている塩素のことをいいます。法令により、遊離残留塩素として0.1mg/L以上確保すること、とされていますが上限は求められていません。残留塩素が多いと塩素臭を与え、味が悪く感じます。

 

17、 カルシウム、マグネシウム等(硬度)

カルシウムとマグネシウムの合計量を炭酸カルシウムに換算してあらわしたものです。主に水源地質に由来し、水質基準項目にも含まれています。この値が低すぎるとこくのない味がし、高すぎると硬くてしつこい味になるといわれています。

 

18、 マンガン及びその化合物

主に水源地質に由来する金属で、水質基準項目にも含まれています。より質の高い水道水の供給を目指すことを目的に、水質基準値の1/5が目標値として設定されています。

 

19、 遊離炭酸

水中に溶けている炭酸ガスの量のことです。適度に含まれると水に清涼感を与えますが、多いと刺激が強くなります。また水道施設に対して腐食等の障害を生じる原因ともなります。

 

20、 1,1,1-トリクロロエタン

ドライクリーニング洗浄剤、金属の洗浄剤として使用されます。旧水質基準項目の一つでしたが、水道水からの検出事例がほとんどなかったことから、水質基準項目から外されました。。目標値は臭気・味の点から設定されています。

 

21、 メチル-t-ブチルエーテル

ガソリンの添加剤(オクタン価向上剤等)として使用されます。地下水で一過的に高濃度で検出された例があります。目標値は臭気の点から設定されています。

 

22、 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)

水中の有機物質等の量を示すものです。同様の意味を持つ項目として有機物(全有機炭素量)があり、こちらは水質基準項目となっています。水源の土壌に起因するほか、生活排水、工場排水、下水などの混入により増加します。この値が高いと渋味を増すといわれています。

 

23、 臭気強度

臭いの強さを数値化したものです。測定しようとする水を、無臭の水で何倍希釈したときに、臭いがしなくなったと感じられるか、という検査で求めます。

 

24、 蒸発残留物

水を蒸発させたときに得られる残留物の量のことで、水質基準項目にも含まれています。残留物が多いと苦味・渋味を感じ、適度に含まれるとこくのあるまろやかな味になるといわれています。

 

25、 濁度

水の濁り度合いを数値化したもので、水質基準項目にも含まれています。より質の高い水道水の供給を目指すことを目的に、水質基準値の1/2が目標値として設定されています。

 

26、 pH値

液性(酸性・アルカリ性)を数値化したもので、水質基準項目にも含まれています。給水管など水道施設は材質が金属の部分が多くあり、酸性側では金属が水中に溶け出しやすくなる傾向があるため、目標値として弱アルカリ性の値が設定されています。

 

27、 腐食性(ランゲリア指数)

水が金属を腐食させる程度を推定する項目です。腐食させる力の度合いをpH値等の水質データから数値化したものがランゲリア指数です。

 

28、従属栄養細菌

生育に有機物を必要とする細菌のことです。水道水の清浄度の指標であり、集落数が少ないほど水道水が清浄な状態であることを示します。

 

29、1,1-ジクロロエチレン

家庭用ラップ、食品包装用フィルムの原料に使用します。ポリビニリデン原料

 

30、アルミニウム及びその化合物

工場排水などの混入や、水処理に用いられるアルミニウム系凝集剤に由来して検出されることがあり、高濃度に含まれると白濁の原因となります。アルマイト製品、電線、ダイカスト、印刷インク

 

31、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)

有機フッ素化合物の一つであるPFOSは、平成22年以降 原則 製造・輸入・使用が禁止されています。PFOAについても国際的に製造・使用の廃絶に向け取り組んでいます。撥水性・耐熱性・耐薬品性に優れており、分解されにくい性質があります。

 

(参考:環境省、厚労省、経産省 他)