平成26年7月環境省通知「禁忌症及び入浴又は飲用上の注意事項」について(医学的解説) | 水質検査 | お役立ち情報 | 株式会社 東邦微生物病研究所

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平成26年7月環境省通知「禁忌症及び入浴又は飲用上の注意事項」について(医学的解説)

 

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本ページは、平成26年7月28日に大阪科学技術センターで開催されました「公益財団法人中央温泉研究所主催の温泉成分登録分析機関向けセミナー」において、「禁忌症及び入浴又は飲用上の注意事項の医学的解説」と題した前田眞治教授(国際医療福祉大学大学院リハビリテーション学分野教授)によるご講演の中で使用されたレジメについて、一般の方が理解する上でも非常に有用な情報であったことから、引用させていただき再編集したものです。

 

 

引用させていただくにあたり、前田教授、セミナー開催の中央温泉研究所様に深く御礼を申し上げます。

引用文献: 鉱泉分析法指針(平成26年改訂)解説書(公益財団法人 中央温泉研究所編)

 

「禁忌症及び入浴又は飲用上の注意事項」は、昭和57年の環境省局長通知(以下、「旧通知基準」という。)から32年ぶりに、最新の医学的知見に基づく科学的根拠をもとに改訂されました。その内容について、医学的立場から解説します。

環境省公開の一般向けパンフレット「あんぜん・あんしんな温泉利用のいろは」環境省も是非一読ください。

禁忌症について

禁忌症とは、一度の温泉浴でも有害で危険性がある病気を指します。禁忌症は、下記の3区分に分けられています。

①     温泉であれば、どのような温泉でも禁忌となりうる「一般的禁忌症」

②     温泉の泉質によって禁忌となりうる「泉質別禁忌症」

③     含有成分によって禁忌となりうる「含有成分別禁忌症」

 

温泉の一般的禁忌症(浴用)

浴用における一般的禁忌症は次のとおりです。

病気の活動期(特に熱のあるとき)、活動性の結核、進行した悪性腫瘍又は高度の貧血など身体衰弱の著しい場合、少し動くと息苦しくなるような重い心臓又は肺の病気、むくみのあるような重い腎臓の病気、消化管出血、目に見える出血があるとき、慢性の病気の急性増悪期

【解説】

何らかの炎症などを伴い人体が反応して病と闘っている「病気の活動期」では、発熱を伴いやすいため、その目安として「特に熱のあるとき」という文言を追加した。

旧通知基準では、「結核や悪性腫瘍、心疾患、腎疾患」などと漠然とした表現でしたが、現代の医学では、結核では抗結核剤を用いたり、悪性腫瘍では術後や抗腫瘍療法によって落ち着いていたり、薬物治療している心疾患や人工透析中の腎疾患では落ち着いた病態にある場合も多いことから、衰弱している場合や十分治療されていない場合の疾患に限定するため明確に示すことにした。

また、消化管出血で現在出血している場合、怪我などで血液が目に見える場合、衛生上の観点から禁忌症の中に取り入れた。

旧通知基準では、「妊娠の初期と末期」という禁忌が含まれていたが、この禁忌事項について掲げられた理由としては、大正時代や昭和初期に東北地方をはじめとする地域において、当時通常では考えられないような「温泉療養」43~45℃1日5~6回くらいの高温頻回浴が農閑期などに行われており、この入浴方法では、通常の人間には大きなストレスがかかることから、妊婦中に間題があるとの記録、一部の産婦人科で陣痛促進のために分娩直前に43℃15分程度の高温長時間浴をさせたという記録があることから、禁忌事項に掲げられていたものと思われます。

しかし、これらの知見については何れも科学的根拠が乏しく、一方、現代の入浴法にこのような過激な入浴をすることはなく、また分娩誘発のために用いることはないこと、さらに温泉地に在住する妊婦も含め温泉に入ることで流産や早産などが誘発されるという科学的根拠が無いことから、今回の改訂では削除することと結論づけた。

 

【参考】

国内における妊婦に温泉入浴は問題がないとする論文について

岐早県立下呂温泉病院の研究班が、同病院で出産した女性約千人.に行った妊娠中の入浴アンケートを分析したものです。

毎日の入浴において、

《1》 温泉(単純温泉の下呂温泉)

《2》 入浴剤入り

《3》 真湯

《4》 シャワー

四グループについて比較した結果、切迫流産や切迫早産、早産の起きる割合や出生体重に差がなかったと結論付けている。

文献:温泉浴による妊娠,分娩への影響:山際三郎ら:岐阜県立下呂温泉病院.目本温泉気候物理医学会雑誌,67(3):173-178.2004.

 

飲用の一般的禁忌症については、含有成分が殆ど無く井戸水に近い単純温泉においても禁忌になるものは考えられないため、「飲用の一般的禁忌症はなし」とした。

 

泉質別禁忌症

掲示用泉質

浴 用

飲 用

酸性泉

皮膚又は粘膜の過敏な人、高齢者の皮膚乾燥症

硫黄泉

酸性泉に同じ

【解説】

一度の入浴でも問題となる泉質別禁忌症として、強い酸性の泉質や硫黄泉では皮膚の弱い人、皮膚乾燥症の高齢者に有害な問題が生じる可能'性が高いことから、この2つのみを禁忌症に掲げた。また、この泉質では健常な人にも間題が生じる可能性があることから、真水などで洗い流すことを注意事項として掲げることとした。

 

含有成分別禁忌症

飲用の禁忌症は、温泉の飲用許可が出たものに限定されることを条件としており、それらは各含有成分によって異なるため、含有成分別禁忌症に詳細に規定することにした。

 

 

成 分

浴 用

飲 用

ナトリウムイオンを含む温泉を1日(1,200/ A)×1,000mLを超えて飲用する場合

塩分制限の必要な病態(腎不全、心不全、肝硬変、虚血性心疾患、 高血圧など)

カリウムイオンを含む温泉を1日(900/A) ×1,000mLを超えて飲用する場合

カリウム制限の必要な病態(腎不全、副腎皮 質機能低下症)

マグネシウムイオンを含む温泉を1日(300/ A)×1,000mLを超えて飲用する場合

下痢、腎不全

よう化物イオンを含む温泉を1日(0.1/A)×1,000mLを超えて飲用する場合

甲状腺機能亢進症

上記のうち、二つ以上に該当する場合

該当するすべての禁忌症

注)
Aは、温泉1kg 中に含まれる各成分の重量(mg)を指す。飲用する温泉 について、含まれる成分ごとにそれぞれの重量に基づき具体的飲用量を算出して記載すること。

ただし、(2)入浴又は飲用上の注意の掲示基準②飲用の方法及び注意ウ.において、「温泉飲用の1日の総量はおよそ200~500mL までとすること。」としており、具体的限界値が500mL以上の場合は、温泉の1日の飲用量を超えているため、禁忌症を掲示することを要しない。
(例)ナトリウムイオン3,000mg/kg、カリウムイオン200mg/kg、マグネシウムイオン60mg/kg、よう化物イオン1mg/kgを含有する温泉を飲用する場合は、以下のとおり含有成分別禁忌症として掲示すること。
・1日に100mL(よう化物イオンの含有量から算出される限界値)を超えて温泉を飲用する場合:甲状腺機能亢進症
・1日に400mL(ナトリウムイオンの含有量から算出される限界値)を超えて温泉を飲用する場合: 塩分制限の必要な病態(腎不全、心不全、肝硬変、虚血性心疾患、 高血圧など)
(参考) なお、この場合、カリウムイオン及びマグネシウムイオンに関しては上記の理由により、算出される具体的な限界値が500mL以上となるため禁忌症として掲示を行うことを要しない。

 

【解説】

旧通知では、温泉水1000mL程度の飲用も構わないとしていた。しかし、成人の飲料水1日摂取量としては1200~2000m1も有れば十分と考え、そのうち温泉水が占める割合はあまり多い必要性は無く、また試飲の飲泉も多く存在することから、1日500m1を上限とすることとした。

なお、温泉水の持ち帰りは、温泉が時間とともにその成分が変化するため、持ち帰りを原則として禁止し、例外として自己責任下或いは水道法等の飲料水水質基準下での飲泉であることを銘記することとした。

 

ナトリウム・カリウム

心臓・肝臓・腎臓疾患における塩分制限で、ナトリウムやカリウムが特に問題となる。

ナトリウムの基準としての厚生労働省の指針は、男性9g女性7.5gが1日摂取量の上限であることから、温泉の飲水だけではなく通常の食事などに含まれる塩分量なども考慮し、温泉から取り入れる塩分の限度を.1.2gとして算出したのが今回の規定である。

各温泉では、ナトリウム濃度が異なり一律に量を決めることは困難であり、強食塩泉とほとんど塩分の含まれない単純温泉とでは飲水量も異なるのは明白と考えられる。

そこで、今回の基準は、濃度別によって飲用量を決定するようにした。

カリウムについても、腎機能などを考慮して0.9gを上限としている。

 

マグネシウム

マグネシウムは医学的には下剤の成分としてよく用いられるもので、特に高齢者や腎機能が低下した人にとって、マグネシウムを摂取すると、疲れやすさ、筋力低下、不整脈などが生じることがあり、特に脈が遅くなった場合には重篤な症状を呈する。

そこで、マグネシウムが高濃度に含まれる場合は、その上限を定めることとした。

 

よう化物

よう化物を多く含む温泉では、バセドウ病など甲状腺機能亢進症に間題となることがあり、その制限量を決定している。

 

適応症について

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適応症については法律上の掲示義務はなく、通知の表題も「禁忌症及び入浴又は飲用上の注意事項」であり、「適応症」の言葉は記載されていない。

また、「温泉の適応症」ではなく「療養泉の適応症」として、温度が25℃に満たず規定の含有成分も少ない鉱泉は除外されている。

療養泉は、改訂された鉱泉分析法指針に明確に規定されている。

適応症の基準の冒頭部では、下記の記載がある。

 

温泉療養を行うにあたっては、以下の点を理解して行う必要がある。
① 温泉療養の効用は、温泉の含有成分などの化学的因子、温熱その他の物理的因子、温泉地の地勢及び気候、利用者の生活リズムの変化その他諸般によって起こる総合作用による心理反応などを含む生体反応であること。
② 温泉療養は、特定の病気を治癒させるよりも、療養を行う人の持つ症状、苦痛を軽減し、健康の回復、増進を図ることで全体的改善効用を得ることを目的とすること。
③ 温泉療養は短期間でも精神的なリフレッシュなど相応の効用が得られるが、十分な効用を得るためには通常2~3週間の療養期間を適当とすること。
④ 適応症でも、その病期又は療養を行う人の状態によっては悪化する場合があるので、温泉療養は専門的知識を有する医師による薬物、運動と休養、睡眠、食事などを含む指示、指導のもとに行うことが望ましいこと。
⑤ 従来より、適応症については、その効用は総合作用による心理反応などを含む生体反応によるもので、温泉の成分のみによって各温泉の効用を確定することは困難であること等から、その掲示の内容については引き続き知事の判断に委ねることとしていること。

 

療養泉の一般的適応症(浴用)

筋肉若しくは関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)、運動麻痺における筋肉のこわばり、冷え性、末梢循環障害、胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)、軽症高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、軽い高コレステロール血症、軽い喘息又は肺気腫、痔の痛み、自律神経不安定症、ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)、病後回復期、疲労回復、健康増進

【解説】

浴用の一般的適応症は、温泉であればどの温泉でも効用があるとするもので、大半は温泉の温熱作用によるものである。

人体に熱を与えると、血管拡張物質により血管が拡張し血流が良くなり、自律神経はリラックスするように副交感神経が優位に働き種々の効用をもたらす。

その効用の主なものが筋肉痛・関節痛やこわばりなどの軽減、血管拡張効果に基づく冷え性や末梢循環・軽症高血圧・痔の痛みなどの改善、脱ストレスや血行改善に伴う代謝亢進による糖尿病や高コレステロール血症などの改善、副交感神経の作用に基づく胃もたれ・自律神経不安定症、睡眠障害やうつ状態などのストレス症状、それらが総合的に働く健康増進などである。これらはすべての温泉に共通した適応症です。

 

飲用の一般的適応症

飲用の一般的適応症というのは、含有成分がほとんど含まれなくても源泉温度が25℃以上ある温泉、温度が低くても特定の含有成分が一定以上含まれる温泉など、どのような温泉でも飲めば効用のあるものということで、例えば含有成分のほとんどない25℃の温泉を例にとると、少し温かい井戸水の効用となり、脱水など本分を補うことによる改善効果はあるかもしれないが、特殊なものではない。このような検討から「飲用の一般的適応症はなし」とした。

 

泉質別適応症

掲示用泉質

浴 用

飲 用

単純温泉

自律神経不安定症、不眠症、うつ状態

塩化物泉

きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾 燥症

萎縮性胃炎、便秘

炭酸水素塩泉

きりきず、末梢循環障害、冷え性、皮膚乾燥症

胃十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、耐糖能異常(糖尿病)、高尿酸血症(痛風)

硫酸塩泉

塩化物泉に同じ

胆道系機能障害、高コレステロール血症、便秘

二酸化炭素泉

きりきず、末梢循環障害、冷え性、自律神経不安定症

胃腸機能低下

含鉄泉

鉄欠乏性貧血

酸性泉

アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、耐糖能異常(糖尿病)、表皮化膿症

含よう素泉

高コレステロール血症

硫黄泉

アトピー性皮膚炎、尋常性乾癬、慢性湿疹、表皮化膿症(硫化水素型については、 末梢循環障害を加える)

耐糖能異常(糖尿病)、高コレステロール血症

放射能泉

高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など

上記のうち二つ以上に該当する場合

該当するすべての適応症

該当するすべての適応症

(注)
1.療養泉の一般的適応症及び泉質別適応症について重複するものがある 場合は、掲示に当たっては、泉質別適応症の掲示を優先し、重複するも のを一般的適応症から除いても差し支えない。
2.鉱泉分析法指針(平成26年改訂)(*)に示す療養泉の泉質の分類が二つ以上該当する場合における適応症は「該当するすべての適応症」としているが、掲示に当たっては、重複して掲げないこととする。
(例)含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物泉の場合は、「塩化物泉」と「二 酸化炭素を含む療養泉」に該当するため、浴用の適応症として、きりきず、末梢循環障害及び冷え性は、重複して掲げない。
*鉱泉分析法指針(平成26年改訂)における療養泉の泉質の分類を参照すること。

 

【解説】

単純温泉

今回検討され認められた特別なとして「単純温泉」の浴用による自律神経不安定症、不眠症、うつ状態の改善など心理的症状の改善が挙げられる。

含有成分の少ない単純温泉自体は他の泉質と比べ、刺激が少ない泉質であるといえる。

心理的に落ち着いた環境の中でゆったり過ごすことは、心理的ストレスからもたらされる種々の病態に対して改善をもたらす。

また、刺激が少ないことは高齢者や小児にとってもやさしい温泉として、その場所に長く逗留しても強い作用を来すことが少ない。

温泉地に来て入浴しながら過ごすことだけでも心理的な安静がもたらされることも確認されており、他の刺激の強い泉質に比較して単純温泉の特徴として泉質別適応症に掲げられることになったことは、日本に多い単純温泉の効用として特筆されるべきことと思われる。

単純温泉の飲用については、前述したように水分の補給であることから、特別な効用は考えにくく、「単純温泉の適応症の記載はなし」とした。

 

塩化物泉

塩化物泉の特徴は入浴後早く温まり、出浴後の保温効果も長いという「熱の湯」である。

そのため熱による血流改善効果が大きく長時間に渡って続く。その効用により、一般的適応症の温熱作用は強力なものとなり、血行改善に伴う創傷治癒効果から「きりきず」、末梢循環改善に伴う冷え性などが掲げられている。

飲泉での効用については、塩分制限などで飲泉量の間題はあるが、萎縮性胃炎やマグネシウムを多く含む泉質も多く便秘などの効用もあるとしている。

 

炭酸水素塩泉

この泉質は塩類泉として温熱効果があり早く温まることと、出浴後はさっぱりとするという特徴をもつ。従って浴用は塩化物泉と同じ適応症としている。

また、炭酸水素塩泉の多くは重曹泉に代表されるようなアルカリ性泉としてとの効用もあり、飲用して胃酸の中和による胃十二指腸潰瘍や逆流性食道炎への効果、重曹は尿をわずかにアルカリ性にし尿酸結石の生成を阻害することから痛風(高尿酸血症)への効用としている。

 

硫酸塩泉

硫酸塩泉も塩類泉としての入浴後の温熱効果と出浴後の保温作用が大きく、塩化物泉同様の浴用の適応症としている。

飲用では、硫酸塩泉はマグネシウムを含有している温泉も多い。

マグネシウムは胃から十二指腸に達すると、胆嚢に作用して、胆嚢を収縮させる効果がある。そして、胆嚢を収縮させると胆汁が消化管に分泌され、消化管が食物を押し流すぜん動運動を活発にする。そのため、胆道系の動きを良くし便秘が軽減されるという働きがある。

 

二酸化炭素泉

二酸化炭素には末梢血管拡張作用があり、入浴部位などの皮膚の血流改善効果が著明にもたらされる。これは温熱作用による血管拡張作用とは異なるメカニズムであり、さらに温熱による血管拡張作用や血流改善効果が相乗的にもたらされる。

諸外国では血管拡張作用で高血圧などにも効果があるとしているが、中等度以上の高血圧では薬物治療が優先されることから、一般的適応症の中に軽症高血圧が含めた。

また、二酸化炭素泉における高血圧に対する科学的知見が無いため、二酸化炭素泉での高血圧への記載は省かれている。

さらに、血管拡張作用により副交感神経系優位の効果により、自律神経系不安定症に対する効果を記載している。

飲用では、胃のぜん動運動亢進作用から、胃腸機能低下とした。

 

含鉄泉

少しでも鉄分の多い温泉は、貧血の治療に用いられる鉄剤を服用することと同じであるため、この記載になっている。

しかし、温泉には塩分も多く含まれるため、療養効果をもたらすまでの鉄分を補充する飲泉量を確保することは困難なことが多い。

浴用での含鉄泉の効用については、明確なエビデンスを持つ科学的知見は認められなかった。

 

酸性泉

酸性泉に入浴すると、一般的に酸性下では細菌の増殖が抑えられることから、皮膚表面に細菌感染を起こし症状が増悪するアトピー性皮膚炎、尋常性乾癬や慢性湿疹などを掲げられている。

耐糖能異常(糖尿病)については強い刺激により代謝亢進を促すことから掲げられている。

 

含よう素泉

含よう素泉の飲用については、そのメカニズムはまだ科学的に十分検証されていないが、高コレステロール血症に効用が得られている論文が散見されるために掲載するようにした。なお、浴用での効用に関する科学的な論文は発見されなかったため、無記載とした。

 

硫黄泉

硫黄泉は酸性泉であることも多く、浴用では酸性泉と同じ皮膚疾患への適応症を掲げている。またマンガンとイオウを一定に含む場合、殺菌効果をもたらすことも知られており、酸性泉とは異なる細菌増殖抑制効果がある。

さらに、硫黄泉の主なる成分の一つである硫化水素は皮膚から浸透すると、二酸化炭素泉で見られたような強力な血管拡張効果を単独で引き起こす。そのため、硫化水素型については二酸化炭素泉と同じく末梢循環障害が適応症の一つに掲げられることになった。

飲用では代謝亢進からと思われるが、耐糖能異常(糖尿病)や高コレステロール血症に効用が認められている。

 

放射能泉

放射能泉は、今回の改訂によりこれまでの適応症の多くが泉質別適応症から無くなった。これは明確な根拠を示す科学的な知見が乏しいことに起因している。

しかし、これまでの適応症については、その大半が一般的適応症として掲げられているために、結果的には適応症の疾患は大きく変わってはいない。

その中で浴用として掲げられるものに高尿酸血症があるが、これは放射能泉入浴で尿酸の排出が増したという報告があり掲載されることになった。

関節リウマチや強直性脊椎炎についても同様であるが、その科学的メカニズムについてはまだ十分解明されていない。

 

浴用の注意事項について

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注意事項については、従来、利用者にとって分かりかりづらかった記載を明確にすることと、科学的に解明されてきた事実をもとに入浴の注意事項を改訂した。

 

浴用の注意事項

浴用の注意事項では、やや長い文章になったものの、注意すべきことが分かりやすいように、1)入浴前、2)入浴方法、3)入浴中、4)入浴後に分けて記載したところが今回の基準の特徴である。

 

 入浴前の注意

① 食事の直前、直後及び飲酒後の入浴は避けること。酩酊状態での入浴は特に避けること。

【解説】

温泉地などで飲酒を控えるのは困難なので、飲酒後の入浴について注意をうながし、特に、酩酊状態での入浴は転倒、浴槽中での睡眠など危険性が高いので、強く注意を喚起している。また、食事前後は食物が胃などに入り血液が消化管周辺に集まる。その際に入浴すると皮膚に血液が分散する状態になるため双方にとって不都合となる。さらに、血液が胃や皮膚に集まり脳に送り出す血流量が不足し、入浴中の低血圧などが引き起こされるために注意事項として掲げている。

 

② 過度の疲労時には身体を休めること。

【解説】

入浴は、温度・水圧など人体にとっては刺激となる。入浴は疲労を軽減するものではあるが、疲労が著しいときには、その刺激に対応することが追い付かないことがあり、異常な反応を起こすことがある。そのため、過度の疲労時には、まずは刺激に対応できる程度に身体を休めてから入浴することが望ましい。

 

③ 運動後30分程度の間は身体を休めること。

【解説】

運動直後も体は疲労していたり、体温が上昇していたりすることが多い。温熱など入浴の刺激に対応するために、しばらく体をやすめてから入浴することを勧めている。

 

④ 高齢者、子供及び身体の不自由な人は、1人での入浴は避けることが望ましいこと。

【解説】

複数人で入浴すると、もし浴槽におぼれたり転倒したりしても、すぐに応援を要請でき対応できる。特に事故の多い高齢者や子供に注意をうながしている。

 

⑤ 浴槽に入る前に、手足から掛け湯をして温度に慣らすとともに、身体を洗い流すこと。

【解説】

温度の急激な変化を軽減し、お湯の状態に慣れ身体への負担を軽減するために、心臓から遠い手足から掛け湯をすすめている。通常3~5回以上行うことで、血圧などの変化は少なくなる。

 

⑥ 入浴時、特に起床直後の入浴時などは脱水症状等にならないよう、あらかじめコップ一杯程度の水分を補給しておくこと。

 

入浴方法

① 入浴温度
高齢者、高血圧症若しくは心臓病の人又は脳卒中を経験した人は、42℃以上の高温浴は避けること。

【解説】

浴槽の湯温は42℃を超えると血液の粘調度が急激に増し、血液を固まらせる物質が血液に働き血栓を作りやすくすることが科学的に実証されており、42℃以上の温度'の浴槽の中に入浴することはお勧めできない。

夏は、42℃では非常に熱いと感じて簡単に下げることはできると思われる。しかし、冬は41℃程度だと少しぬるく感じられることから、浴室の温度や湿度などを上げることによって体への負担を軽減することもできる。

42℃以上の場合、息こらえをして皮膚の血管を収縮させて入浴することになるが、これは刺激を好む入浴の仕方であり、外気温と湯温の温度差が大きく激しいヒートショックが大きく間題になる入浴の仕方である。

41℃であっても全身溶で10~15分行えば、体温を1℃以上あげることは可能である。

また、高齢者の場合、熱さに鈍感になり、熱くなったことを感じないまま入浴し事故につながることもあるので注意する必要がある。

このように高い温度での入浴は、血圧など循環器系に大きな負担を生じることから、その負担が間題となる高齢者、高血圧者、脳卒中罹患者は特に注意喚起している。

 

② 入浴形態

 心肺機能の低下している人は、全身浴よりも半身浴又は部分浴が望ましいこと。

【解説】

胸部まで浸かるような全身浴は、水圧で胸が圧迫されることから、心臓も肺も十分に広がることができなくなる。そのため心機能や呼吸機能が低下している人は、みぞおちまでの深さまでの入浴にとどめることで、胸部が圧迫を受けないので、心肺の機能低下している人は半身浴にとどめることをお勧めする。

 

③ 入浴回数
入浴開始後数日間は、1日当たり1~2回とし、慣れてきたら2~3 回まで増やしてもよいこと。

【解説】

温泉入浴は日常入浴している浴槽とは異なり、生体に対しては刺激になり、湯あたりなどの症状の誘発につながりやすいことから、最初は1目2~3回にとどめ、徐々に身体が慣れてくれば、少しずつ増やして2~3回に増やしてもよいと思われる。あまり多すぎる入浴も身体には負担で、湯あたりなどをきたしやすいので注意を要する。

 

④ 入浴時間

入浴温度により異なるが、1回当たり、初めは3~10分程度とし、慣れてきたら15~20分程度まで延長してもよいこと。

【解説】

入浴後の体温上昇は1~2℃程度が適度と思われ、長時間の入浴は体温の過度な上昇をまねくため、最初は1℃以内の3~10分程度に、その後、身体が慣れてきたら15~20分程度で2℃以内の体温上昇にとどめるのがよい。

 

入浴中の注意

 ① 運動浴を除き、一般に手足を軽く動かす程度にして静かに入浴すること。

【解説】

過度な運動を行えば筋肉で熱が作られ体温は上昇する。温泉入浴中は体温上昇を来すことから、入浴中の運動は過度の体温上昇につながりやすい。そのため、ややぬるめの浴槽中の運動を目的とした運動浴を除き、通常は過度な熱が発生しないように手足を軽く動かす程度にして静かに入浴するのがよい。

 

② 浴槽から出る時は、立ちくらみを起こさないようにゆっくり出ること。

 【解説】

浴槽中で体が温まると体表面の血管が拡張し血液が増加し、身体の血液は皮膚周辺に集まる。急に立ち上がると、血液も重カに引かれ下にある足の方に行きがちになり、上の方の脳に血液が行かなくなることが考えられる。その際には健常の人であれば足の方の血管が狭くなり、頭に行く血液量を保つように働く。しかし、入浴などで体表面の血管が拡張された状態で、足など下半身の血管が狭くならない状態で立ち上がると、脳に十分な血液量が確保されないで、立ちくらみが生じる。このような場合には、まず立ちくらみが生じないようにゆっくりと立ち上がり下半身の血管が狭くなれる時間を確保することが重要である。

 

③ めまいが生じ、又は気分が不良となった時は、近くの人に助けを求めつつ、浴槽から頭を低い位置に保ってゆっくり出て、横になって回復を待つこと。

【解説】

もし、めまいや気分不快といったような立ちくらみなどが生じてしまった時には、意識のあるうちに近くの人に助けを求めること。そして、浴槽の中で溺れないように、ゆっくり浴槽から出て横になって回復を待つとよい。横になることで、重力で足の方に血液が引っ張られることがなくなるので、血液は脳に到達しやすくなり、回復することが多い。しかし異なる病気が発症している場合もあるので、注意監視は必要で、異常と思ったら医療機関への受診を勧める。

 

入浴後の注意

 ① 身体に付着した温泉成分を温水で洗い流さず、タオルで水分を拭き取り、着衣の上、保温及び30分程度の安静を心がけること(ただし、肌の弱い人は、刺激の強い泉質(例えば酸性泉や硫黄泉等)や必要に応じて塩素消毒等が行われている場合には、温泉成分等を温水で洗い流した方 がよいこと。)。

【解説】

温泉成分を洗い流すかどうかの温泉成分には、ナトリウムやカルシウム、塩素や硫酸イオンなどがあると塩類を形成する。この塩類が身体に付着し保温効果を発揮するため、この成分を含む温泉では、温泉成分を洗い流さない方が保温の観点からは効果的である。

そして、保温を目的とした場合は、出浴後の水滴の蒸発による気化熱などで体温を下げないため、タオルなどですぐに水分を拭き取ることと、保温のための衣服などをまとい、温浴による刺激を徐々に軽減させるため30分ほどの安静が効果的である。しかし、酸性泉や強アルカリ性泉、硫黄泉など、刺激の強い泉質の場合、肌の弱い人では温泉成分を温水で洗い流して、温泉による皮膚炎を回避した方がよい場合もある。

 

② 脱水症状等を避けるため、コップ一杯程度の水分を補給すること。

【解説】

通常の1回の温泉入浴で約150~300m1の水分が奪われるため、脱水などを防ぐため、コップ1杯150~180m1程度の水分を補うことをお勧めする。入浴前にも水分摂取を勧めているが、入浴中の脱水と出浴後の脱水の両方の危険性を回避するために入浴前後の水分補給を勧めている。

 

湯あたりについて

温泉療養開始後おおむね3日~1週間前後に、気分不快、不眠若しくは 消化器症状等の湯あたり症状又は皮膚炎などが現れることがある。このような状態が現れている間は、入浴を中止するか、又は回数を減らし、このような状態からの回復を待つこと。

【解説】

湯あたりは入浴による異常な生体反応である。湯あたりの多くは、温泉という日常と異なる環境変化に人体が適応する際の反応であることが多い。そのため、温泉の刺激を受けてから3日~1週間程度で大きく反応し、気分不快、不眠、嘔気、嘔吐、下痢、便秘などの症状、刺激反応による皮膚炎を生じることがある。これは刺激に対する反応であることが多く、入浴中止や入浴回数を減らすことで軽快することが多い。しかし、このような症状が生じた場合も、湯あたりと異なる場合もあるので、医師などに相談することをお勧めする。

 

その他

浴槽水の清潔を保つため、浴槽にタオルは入れないこと。

【解説

我国は非常に安全な国であり、他国とは異なり水着着用ではなく裸で入浴する文化を持っている。このことは温泉成分の効果を最大限に享受することができることにつながっている。裸で入浴することで浴室での心理的解放感が得られリラックスした空間が得られるとともに、コミュニケーションの場としても活用されている。

このような場の清潔管理のひとつとして浴槽水の清潔維持のため、浴槽にタオルを入れないという注意事項を追加し、伝統と安全の確保を促すこととした。

 

飲用の方法及び注意

温泉は、湧出後、時間の経過とともに変化がみられるため、地中から湧出した直後の新鮮な温泉が最も効用があるといわれているが、それぞれの泉質に適する用い方をしなければ、かえって身体に不利に作用する場合もあるので、温泉の飲用は、以下の事項を守って行う必要がある。

なお、温泉を飲用に供する場合は、当該施設の設置者等は新鮮な温泉を用いるとともに、源泉及び飲泉施設について十分な公衆衛生上の配慮を行う必要がある。

ア. 飲泉療養に際しては、専門的知識を有する医師の指導を受けること。また、服薬治療中の人は、主治医の意見を聴くこと。

イ. 15歳以下の人については、原則的には飲用を避けること。ただし、専門的知識を有する医師の指導を受ける飲泉については例外とすること。

ウ. 飲泉は決められた場所で、源泉を直接引いた新鮮な温泉を飲用すること。

エ. 温泉飲用の1回の量は一般に100~150mL程度とし、その1日の総量はおよそ200~500mLまでとすること。
(注)
1.温泉にひ素、銅、ふっ素、鉛及び水銀並びに遊離炭酸が含まれる場合は、この記載に加えて、別に定める方法により飲用量を示すこととする。
2.温泉がpH3未満である場合(希釈が行われ、飲用に供する温泉がpH3以上になっている場合を除く。)は、この記載に代えて、例えば「この温泉の液性は酸性であるため、真水でpH3以上となるようおおよそ A倍に薄めた上で、飲用の1回の量は100mLまでとし、その1日の総量 はおよそ200~500mLまでとすること。」とする。なお、Aの数値は、pH により異なるため、pH3以上となるように具体的希釈倍率を算出して 記載すること。

オ. 飲泉には、自身専用又は使い捨てのコップなど衛生的なものを用いること。

カ. 飲泉は一般に食事の30分程度前に行うことが望ましいこと。

キ. 飲泉場から飲用目的で温泉水を持ち帰らないこと。

ク. 飲用する際には、誤嚥に注意すること。
(注)誤嚥とは、うがいや焦って飲むことなどにより、肺や気管に水分を 吸い込んでしまうことをいう。なお、嚥下障害を発症している人は 飲泉を行わないこと。

 

 【解説】

飲泉の全般的注意事項

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飲用全般の注意事項として、温泉水の経時的変化が問題となる。飲用に用いられる温泉の分析は湧出した直後の温泉水を分析している。地中から湧き出た直後の温泉水は地上に存在する細菌などの繁殖もなく、人体に対して感染症を生じるとする観点からは湧出直後のものが最も適しており、定期的な飲泉場の細菌検査など公衆衛生上の管理も徹底されている。また、温泉の温度が湧出地の大気温と異なれば、しばらくすると大気温に近づいてくることになる。高温の温泉水で溶けていた含有物質も温度が下がれば、とけていることができなくなり析出することになる。他の含有物質も同様で、時間がたてば温度などの温泉水周囲の環境が異なり、湧出直後の温泉とは異なった成分になり、飲用が可能かどうかは別の検査と基準が必要となる。

そのため、湧出直後の温泉であれば安全かつ成分分析もされているので、飲用が可能かどうか適切に判断できる。

さらに、泉質に応じて含有成分が異なり、飲用して人体内に入れることは、通常の薬物と同様に考えるのが妥当である。そのため含有成分によっては、有用に働く場合もあるが、逆に不利に作用する場合もあり、その飲用には注意を要し、通常の温泉分析でわかる範囲内での基準を作成している。地中から湧出した自然水であり、未知な物質も含め様々な成分を含んでいると思われる。したがって微量成分や未知の成分についての注意事項について明確なものではないので、その点については考慮が必要である。

以上のことから、温泉を飲用に供する場合は、当該施設の設置者等は湧出直後の新鮮な温泉を用いることが求められ、源泉及び飲泉施設に十分な公衆衛生上の配慮を行い、清潔を保つ必要がある。

 

具体的な飲泉の注意事項

飲泉は薬物などを飲用するのと同じであるので、温泉の成分をよく知っている医師の指導を受けるとともに、現在医療機関で服薬治療などを行っている人は、服薬を指示している主治医の意見を聴くことが望ましい。

 

飲泉は源泉の近くの飲泉許可された場所で、温泉成分が温泉分析書とほとんど変わらない源泉を直接引いた新鮮な温泉を飲用する。

 

温泉飲用量は、健常成人を胃の容量などを考慮しての1回の量はコップ1杯量の100~150mL程度としている。また、人の水分摂取量として食物以外に1000~1500m1程度でよく、そのすべてを温泉に変える必要もないことから、その半分ないし1/3であれば安全な十分量と考え500m1の容器も汎用されていて容易に見当が付きやすいので、1日の総量はおよ.そ200~500mLまでとしている。なお、この量は禁忌症にあげられているナトリウムやカリウムなどの量を加味し、1目最大量を500m1と規定はしているが、ナトリウムやカリウムなどの成分が多いものはこの限りではなく、この量を下回ることもある。

さらなる注意点として、温泉成分分析表にもあるような成分の、ひ素、銅、ふっ素、鉛及び水銀並びに遊離炭酸が含まれる場合は、別に定める方法により飲用量を示し安全な飲泉を確保している。また、飲泉の酸・アルカリ度については、飲用しても食道や胃など消化管に有害な事象が生じないように、酸では、通常に飲用できるレモン水などの飲用基準と同じようにpH3程度まで酸度を緩和した基準としている。そのため、例としてpH3の温泉を例にとって説明している。ちなみにpH2からpH3といったようなpHを1上げるためには10倍の希釈が必要となる。また多量を1回で飲用することは消化管などに問題を生じる可能性があり、1回量をやや少なめの100m1としている。

 

小児など15歳以下の人については、各成分の服用量について明確な基準と根拠がなく、安全面を加味して、原則的には飲用を勧めないこととした。しかし、その飲用も医学的治療として用いるよう場合は、専門的知識を有する医師の指導のもとに飲泉できるとしている。

 

衛生管理の観点から、他人の用いたコップでは接触性感染の可能性が高く、不潔であることが多いことから、今回の改正では、飲泉には自身専用又は使い捨てのコップなど衛生的なものを用いることとしている。

 

飲泉成分が十分に効果を出しやすいように、食事の30分程度前に行い、その成分が吸収されやすい状況としている。

 

前述のごとく、温泉は時問が経つと変化して、湧出直後と異なる成分に変化し生体に対して飲用時の危険性が高まる場合がある。そのため飲用目的で温泉水を持ち帰らないことを追加している。

 

一般的な誤嚥事故を防ぐために、注意をうながすこととした。誤嚥についてもわかりやすく解説している。

 

基準の適用対象

基準は、温泉を公共の浴用又は飲用に供する宿泊施設、公衆浴場等における利用について適用する。なお、医療機関が治療行為の一環と して温泉を使用する場合においては、全ての基準が適用されるものではない。 また、療養泉の一般的適応症及び泉質別適応症のほか伝統的適応症を適応症として決定する場合は、専門的知識を有する医師の意見を参考とすることが望ましい。

 【解説】

基準は、温泉旅館・ホテル・入浴施設など、温泉を公共の浴用又は飲用に供する宿泊施設、公衆浴場等における利用について適用するとし、個人などで所有する温泉については個人の管理を原則にしており、その掲示の義務はない。

なお、温泉にかかわる医療として用いる場合には、さまざまな使用法が考えられるため、医療機関が治療行為の一環として温泉を使用する場合においては、全ての基準が適用しないことにしている。

 

掲示の手続について

この温泉の禁忌症・適応症および注意事項の掲示については、温泉を公共の浴用又は飲用に供しようとする人が、温泉法第18条第4項に基づき、温泉の成分、禁忌症及び入浴又は飲用上の注意事項を掲示又は変更しようとする場合に、事前にその内容を都道府県知事へ届け出る必要がある。各都道府県知事等は届出を受理した後に、原則的に専門的知識を有する医師の意見を聴いた後に掲示を認めることになる。

さらに、各都道府県知事等は健康を保護するために必要があると認めるときは、届出がなされた内容を変更することを命じて掲示内容を変更することになっている。