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卵とサルモネラについて

 

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卵には生命の元となる全ての栄養素が含まれていることから、完全な栄養食品として広く一般的に知られていると同時に、サルモネラの代表的な食中毒原因食品の一つとしても有名です。

 

 

 

卵の成分とサルモネラ食中毒

卵の成分は、全卵中タンパク質が12.3%、脂質が10.3%、水分が76.1%となっており、その他にカルシウム、鉄分、ビタミン、コレステロール等もあり、風邪に効くとされている殺菌酵素リゾチームも多く含まれています。

 

一方、サルモネラは食中毒を引き起こす菌の一つで、発育温度は10℃以上、特に20℃以上になるとよく増殖し、発育至適温度は37℃位とされていますが、熱抵抗性が弱く十分な加熱で死滅します。

 

汚染される主な食品として卵(加工品含む)、食肉製品、乳製品などがあり、事件数が多い原因食品は、洋菓子、オムレツ、自家製マヨネーズ、卵納豆、だし巻き卵、卵入りどんぶり、とろろ、卵焼きなどで、卵とサルモネラの関係性が多く見られます。

 

食中毒症状としては4~48時間後に発症する事例が多く、主な症状は悪心、嘔吐、腹痛、下痢、発熱等。39℃以上の発熱が特徴で脱水症状を示す場合もあり、小児、老人の場合は重症で稀に死に至ることもあります。

 

卵の生食-サルモネラ食中毒のリスクは?

世界中では珍しい「卵かけごはんに代表される生食習慣」ですが、衛生管理はどの様な仕組みになっているのでしょうか。 

  

食品安全委員会が実施した研究事例では、日本全国から集めた市販の卵約10万個のうち、汚染されていたのは3検体でした。

さらに、2万個の卵から汚染が検出されなかったとのデータも併せ、汚染の確率を0.0029%程度と推定し、極めて低い割合となっています。

ただし、汚染率が低くても、リスクが無いわけではありません。

厚生労働省の統計によれば、未だに「卵類及びその加工品」を原因とした食中毒が発生していますので、やはり生卵を安全に食べるには相応の取組みが必要です。

 

卵の殺菌処理

 

鶏卵の汚染の経路 -on eggとin egg-

 

鶏卵が汚染される経路は次の二つです。

on egg汚染: 鶏の消化管等に存在する菌が、糞便と一緒に卵殻表面に付着する場合

in egg汚染:感染している鶏の卵巣や卵管が汚染され、卵の形成過程で内部に取り込まれる場合 

 

通常の流通過程では、パックに詰められる前に、卵殻の洗浄・殺菌が実施されているので、on egg汚染は除去されます。

消毒・殺菌の処理では、養鶏場で生産された鶏卵がGPセンター(鶏卵格付包装施設)において傷卵・血卵などが除かれた後、卵殻表面に付着した汚れを次亜塩素酸ナトリウム150ppm溶液などで消毒・洗卵します。

ただし、放し飼いや自然卵と称する養鶏場の宅配などの生産卵については、この工程の有無は、生産者と消費者との相互信頼に基づくことになります。

 

 in egg汚染は、卵内部の汚染なので、卵殻を洗浄・殺菌しても取り除くことができませんが、養鶏場において親鶏がサルモネラ属菌に感染しないようにする充分な取組みがなされています。

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賞味期限

 

1999(平成11)年の食品衛生法施行規則の改定により、自宅での「冷蔵保存」(10℃以下)が前提の殻つき卵の賞味期限は、万一、卵内にサルモネラ菌が存在し「生食」しても問題が生じない期限を表示することとされました。

これは、サルモネラの増殖に必要な鉄分が卵黄中にのみ存在し卵白中には存在しないため、卵黄膜が鮮度の低下により破れて、鉄分を有する卵黄成分が卵白内に移行して菌が増殖を始める期間として、日数と保存温度に関する関係式で計算されています。

例えば、冬季12~3月ですと、産卵後57日以内とされています。

ただし、実際には、パック詰め後2週間(14日)程度を、年間を通した賞味期限としている場合が多いようです。

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鶏卵の日付等表示マニュアル-改訂版(平成22年3月18日 (社)日本養鶏協会・鶏卵日付表示等改訂委員会

 

茹で卵などの加熱処理したものは、動物性タンパク質の食べ物であることから、牛肉・豚肉などを加熱調理した場合と同程度と考え2~3日以内に消費することが望ましいでしょう。

  

生卵を安全に私達が食べるためのポイント

 

賞味期限を守り、生食するならなるべく新鮮なうちに食べること。

卵内には殺菌酵素リゾチームが含まれ、サルモネラ菌は10℃以下ではほとんど増殖しませんが、時間が経つにつれ卵の鮮度が下がれば殺菌力も低下してしまうので、必ず新鮮なものを食べましょう。

賞味期限は、生食できる期限として設定されているので、賞味期限経過後の卵は加熱調理することにより食べることができますが、なるべく賞味期限内に消費するようにしましょう。

【保管方法】

■ 表示で「賞味期限」、「保存方法」をしっかり確認。

■ 購入した卵は、すぐに冷蔵庫へ入れること。

■ 冷蔵庫から取り出した後、調理のために割卵した卵は、室温下で放置しないようにする。

 特に卵黄と卵白を攪拌すると細菌が増えやすくなるという報告があり、混合撹拌した状態で放置しない。

 

【調理方法】

■ 賞味期限が過ぎた卵は、サルモネラ属菌対策のため、十分に加熱して(75℃以上で1分以上または65℃で5分間以上)、食べることを推奨します。

 なお、ヒビが入っている卵は、しっかり加熱して食べてください。

■ 割卵、混合後はすばやく調理する。もし卵白中にのみサルモネラが存在していた場合でも、混合する事によって鉄分を得て増殖を始めます。冷蔵保存していても完全に防げるわけではありません。

■ 生卵を食べる場合、割卵は食べる直前にし、できるだけ早く食べ終えること。

■2次汚染対策として、十分な手洗いし、調理に使用した器具・食器類は十分に洗浄・消毒すること。

■高齢の方、乳幼児(2歳以下)、妊娠中の女性、免疫機能が低下している方は、生卵を避けること。

 

水で卵を洗ってから冷蔵庫に保管するのはダメ!

 

鶏卵は、採卵後、そのまま流通するのでなく、通常、流通過程でパックに詰められる前に「洗浄・殺菌処理」が実施されています。

殻の表面の汚れを水で洗うと、殻の無数の微細な穴(気孔といい1個に約数千~1万前後)から、雑菌が水と一緒に卵の中に侵入する可能性が指摘されています。

目に付く汚れは、洗わずに拭き取るか、調理直前に洗うことをお勧めします。

 

米国疾病管理予防センター(CDC)のサルモネラ食中毒対策に関する発表

tamagokakegohan   2016年7月、米国疾病管理予防センター(CDC)は、米国では毎年、サルモネラ属菌による食中毒の患者が100万人発生していると推定し、「サルモネラ症を防いで食品を安全に摂取する方法」を公表しました。

その中で、「自分と家族がサルモネラ症にかかる可能性を低減する」方法として

・手や調理器具の洗浄

・交差汚染を防ぐため、生の食肉、家きん類の肉(鶏肉など)、魚介類及び卵とRTE食品(喫食前に加熱を要しない調理済み食品)の分離

・加熱調理(正確な温度による加熱調理)

・冷却

などを徹底するよう呼びかけています。

 

また、「生や軽く加熱調理しただけの卵は喫食しないこと」も挙げられていますが、米国では元来生卵を食べる習慣がない点に立脚したものといえます。

国内では、養鶏業者による衛生管理や賞味期限の設定、家庭や食品を取り扱う事業所における適切な取扱いにより、安心して生卵を食べることが担保されています。

 

おわりに

卵に限らず、食品には健康への危害要因が存在します。

正しく取扱うことで、そのリスクを心配不要なレベルにまで下げることができます。

消費者は、正しい保管や調理を行うことが、生卵を安心して食べることができる伝統的食文化の継承につながっていくものといえます。

 

≪参考資料≫

食品安全委員会;米国疾病管理予防センター(CDC)、サルモネラ症を防いで食品を安全に摂取する方法を公表

食品安全委員会公式Facebook:CDCがサルモネラ症を防いで食品を安全に摂取する方法を公表しました~卵の取扱いについての話です~(2016年9月26日)

食品安全委員会;「サルモネラ属菌による食中毒について」

食品安全委員会;「鳥インフルエンザについて」

食品安全委員会:食品健康影響評価のためのリスクプロファイル ~鶏卵中のサルモネラ・エンテリティディス~(改訂版)

食品安全委員会:市販鶏卵におけるSalmonella Enteritidis汚染の実態解明とリスク評価法への活用について

厚生労働省;卵によるサルモネラ食中毒の発生防止について(別添3「家庭における卵の衛生的な取扱いについて」)

農林水産省;卵の扱いかた

一般社団法人 日本養鶏協会:にわとりとたまごの質問コーナー

一般社団法人 日本卵業協会:タマゴQ&A「品質・保存編」