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食品微生物検査 Q&A

 

皆様、日頃は検査をご依頼いただき誠にありがとうございます。

お預かりいたしました検体は、迅速かつ正確に検査を行っておりますが、色々疑問に思われることも多々お有りのことと思います。

そこで、食品衛生検査部宛に、よくお問い合わせ頂くご質問について紹介させて頂きます。

大腸菌群と大腸菌はどう違うの?

大腸菌が「大腸菌=E.coli」1種類の菌種を指すのに対して、大腸菌群は読んで字のごとく、「大腸菌とよく似た性状の菌群」を指します。

すなわち、大腸菌群の中に大腸菌は含まれますが、大腸菌群=大腸菌ではありません。

 

もう少し詳しく説明しましょう。

大腸菌を含む大腸菌群は、加熱(中心温度75℃1分)により確実に死滅する菌です。

つまり、これらの菌が加熱食材から検出されれば、加熱不足若しくは加熱後の2次汚染があったということになります。

大腸菌群は自然界にも多く存在する菌を含むため、未加熱食材からは多少検出されても仕方ないと判断されるのに対して、大腸菌(E.coli)の検出は、腸内細菌による糞便汚染と判断されますので、未加熱食材から検出することは望ましくないということになります。

 

大腸菌と呼ばれる菌の中には、O157に代表される腸管出血性大腸菌も含まれますのでより一層注意が必要です。

 

培養と保存試験はどう違うの?35℃48時間培養したら菌数増えてしまうのでは?

「保存試験」とは、「食品(製品)」の状態のまま、指示された温度帯で保管時間後に検査を行う方法で、主に日持ち試験、賞味期限日設定などの目的で行われます。

 

一方、「培養」とは、食品を砕いて検査し、シャーレや試験管に入れて目的とする微生物を検出するために、微生物に最適の温度と時間でシャーレや試験管を保管することを言います。

 

一般生菌を例にご説明しましょう。

35℃48時間の保存試験の場合、食品を35℃の保管庫に48時間保管した後、検査を行い、標準寒天培地を入れたシャーレに固めます。

その後、そのシャーレを一般生菌の培養条件である35℃48時間の培養を行い、菌数をカウントします。

0時間(初発)の検査の場合は、食品のままでの保管は行いません。即検査を行い、シャーレに固め、35℃48時間の培養後、菌数をカウントします。

 

培養すると菌数が増えるのでは?と心配される方もいらっしゃいますが、大丈夫です。

 

例えば、今シャーレの中に菌が10個いるとしましょう。それを寒天培地で固めて、菌が泳ぎまわれないようにしてしまいます。

固めた直後は培養0時間目なので、顕微鏡で見なくては菌は見えません。

でもこれを最適な条件で培養してやると、10個の菌は10個の集落(コロニー)となるのです。

コロニーとなれば、肉眼でも計測可能ですし、菌によっては独特の形状のコロニーを形成するので、菌の種類が大体判る場合もあります。

このようにして、培養により菌数は計測されるのです。

 

一般生菌数「45000」って10の何乗?

4.5×104 です。

指数関数を覚えていますか?

    100    = 10

    1000   = 10

    10000  = 10

    100000 = 10

 つまり。桁数と指数が対応しているのです。

 では問題です。「250」は10の何乗?    正解は2.5×10です。

 

一般生菌を検査すると、その中に全部の雑菌が含まれるの?

残念ながら全部ではありません。概ね含まれるとお考え下さい。

食中毒菌のほとんどは、35℃前後を好むのに対し、35℃では暑くて増殖できない好冷菌(低温が最適条件の菌)や、逆にもっと高い温度が好きな菌もいます。

一般生菌は、通常、空気にさらした状態(好気状態という)で培養しますが、酸素があると増殖できない又は死滅してしまう菌(偏性嫌気性菌という)もあるのです。

これらの菌は一般生菌の培養条件では増殖できないため、別のそれぞれに適した培養条件で検査しなくてはなりません。

 

検査納期について教えて下さい。

主な検査項目の納期は、

一般生菌数・・・4日

大腸菌群数・・・3日

黄色ブドウ球菌・・・4日~6日

大腸菌・・・3日~5日

サルモネラ菌・・・4日~8日

腸炎ビブリオ・・・4日~6日

などです。

日数は受付日より成績書発行までです。

また、判定内容によってはさらに数日伸びる場合がございますのでご了承お願いします。

 

手洗い後に菌数が増えた!?

手指の洗浄消毒後に普通なら菌数は減るはずなのですが、菌数が増えていることがあります。

その原因の一つとして手の常在菌が挙げられます。常在菌は皮脂腺や皮膚のひだの深部に存在しており、手洗いによって表面に浮いてくることがあります。

元々手の表面に付着している菌は石鹸や流水によってほとんど除去できるのに対し、時間が短いなどの正しい手洗いがされていない場合や爪ブラシ、ペーパータオル等で強くこすって逆に皮膚を傷つけたりしてしまうとこの常在菌が浮き、結果的に菌数が増えてしまったということが起こるのです。この場合、手洗い後に正しい消毒を行うことにより軽減することができます。

また他の原因として、水道が蛇口をひねるタイプの蛇口、共用タオルを使用など、手洗い中に何かに触れたときの汚染も考えられます。

 

大腸菌群検出って不適合?

大きく分けて加熱・未加熱食品、器具拭取・手指拭取で考えてみましょう。

食品衛生法により定められた成分規格において、加熱食品や清涼飲料水等、そして乳及び乳製品においてはほとんど陰性となっています。

未加熱食品に対しては規格がないものもありますが、大腸菌群のなかには大腸菌や腸管系病原菌も含まれることがあるため、食品や消費者の安全を考慮するならば、多量に菌が検出された場合は不潔・不衛生だと考えるべきです。

器具拭取・手指拭取においては、洗浄消毒後や保管中はもちろんのこと、作業中においても陰性であることが望ましいとされています。

もし大腸菌群に汚染されていたとして二次汚染の面から考えた時に、非常に食品に接する機会が多いからです。特に器具よりは手指の方が、いろんなものを次から次へと触っていき汚染拡大を容易にしてしまうので、より注意が必要です。

 

大腸菌群の有無はその食品(拭取)の品質を評価する一つの指標であり、加熱食品・洗浄後などの器具や手指からの大腸菌群の検出は十分に不潔・不衛生と言えます。

ただ、大腸菌群は自然界に多く存在するものであり、未加熱食材等や作業中での器具など(未加熱食材の取扱い中や下処理中に限る)では少量の菌数なら衛生学的に問題ないとみなされていますが、多量の菌が検出された時はやはり不潔な取扱いを受けたと思われます。

 

節電対策で室温が高くなることへの品質保証として「40℃~45℃」での保存検査をして欲しい。
実際のところ・・・検査をする意味があるのか?

「35℃」が菌には最適温度のものが多く、40℃~45℃だと逆に一部の菌しか増殖できないので、微生物的にはあまり意味がないかもしれません。
但し、化学変化は促進されるので、食味等は注意しておいた方が良いかもしれません。

クレーム品で種子の異物が出た。何の植物か特定できるか?

よっぽど形態的に特徴のあるものでなければ特定できません。

先日検査を依頼した「おぐら」と「あんぱん」は、『酸っぱい』というクレーム品だったが、検査結果はいずれも一般生菌数が10,000前後だった。菌数が少なくても『酸っぱい』ということはあるのか?

もし菌が原因であれば、「加熱前に菌が増えて酸味が増し、加熱後に菌は殺菌されて酸味だけが残った」ということも考えられます。

保存検査を依頼する際、1回(1時点)につき1つ商品を渡しているが、そのようなルールは法律か何かで定められているのか?

法律等で定められている訳ではありません。当社のご提案です。
加熱済食品等であれば、1つの商品から数回採取してもそんなに違いはありません。しかし、未加熱食品等の場合、1つの商品から数回採取すると自己消化が早まり、普段の状態よりも更に足が早くなってしまいます。(例えば生魚など)
そのため、当社では1回(1時点)につき1商品の検査をご提案しております。

保存検査を毎回別々の商品で検査してもらうせいではないかと思うのだが・・・時々結果にバラつきがある。(成績書の納品先に)これを何と説明すれば良いのか?

固体の食品では、1㎝採取する位置が変われば同じ商品であっても全く違う結果になることがあります。バラつきや個体差は多少あるのが普通です。
また、微生物では、菌の増殖具合は桁数が増えたかどうかで判断しますので、例えば、10や80は同程度の菌数とみなします。『10→100』や『100→1,000』ならば、増えた可能性があると判断します。

一般生菌や大腸菌群は、死んだ菌も数えているのか?オゾン水で洗浄した後、みそ漬にしているのに・・・いつまでたっても大腸菌群が検出されるのだが?

生きている菌のみをカウントしています。
オゾン水の効果については、他社様からもらう同様条件の商品の場合でも、やはり期待される程の結果が出ることは少ないのです。当社の検査実績を鑑みると、菌数が1桁減る程度の結果がでることが多いようです。

 

キュウリの検査結果がE.coli(+)だったが、これで腹痛が起こる可能性はありますか?病原性大腸菌か否かを調べるにはどうすればよいのでしょう?

ただのE.coliであれば問題ありません。しかし、病原性大腸菌であった場合は、可能性があります。
同定検査をすれば分かります。

牛乳パックのピンホール検査と菌検査と化学的成分分析はできますか?

成分分析と菌検査はできますが、ピンホール検査はできません。

ミネラルウオーター類原水基準18項目内の一般細菌数は、メンブラン法で検査しているのか?

いえ、基準18項目内の一般細菌数は、通常の水質検査と同等の方法で検査しています。
未殺菌用原水の追加4項目内の「細菌数」がメンブラン法の対象です。

クリプト指標菌の検査結果『E.coli<1.8』とは、どういう意味ですか?前回は『0』という記載でした。

『E.coli<1.8』とは、E.coliを検出していないということです。
2011年4月からMPN表が変わった為、下限値の表記が変更されました。

普段は冷凍販売している商品(鮭フレーク)を10℃で流通させたい。消費期限を1年後に設定したいが、1年も検査結果を待てない。虐待試験(加速試験)をすれば短期間に結果が出ると聞いたことがあるが、可能か?

医薬品の期限設定では可能なようですが、それを食品に適用するのは困難です。
無理矢理当てはめ、とりあえずの期限として設定している企業はあるようですが、その場合でも通常の保存試験も並行して実施されているようです。
【 備 考 】
医薬品の加速試験では、一般に保存温度+15℃で保存試験を行い、半分の期間で判定しているようです。
(例えば、25℃で保管する医薬品の1年間の品質保持を試すには、40℃で半年間検査)
しかし、医薬品においても実際の保存温度と保存期間での検査も並行して実施することが義務付けられているようです。実際の保存試験を実施しながら、最初は期限を短く設定して商品を販売し、保存試験の実績を基に期限を延長していくという方法を採っている企業もあるようです。

中国産ジャムの表面にカビのようなものがある。その危険性を検査できるか?また、カビかどうかの検査ができるか?

安全性については言及できないが、代わりに検査項目として「カビ毒」を検査をお勧めします。また、カビか否かの検査とカビの同定は検査として実施可能です。

なお、弊社では提携検査機関への外部委託となりますが、検査受託させていただきます。

【 備 考 】

カビ毒であるアフラトキシンは10種類くらいあり、そのうちの「B1」は毒性が強く、食品から検出される可能性も高いため、これを抜粋して検査することが多いようです。
また、この検査には500g程度の検査試料が必要です。もしクレーム品の量が少ない場合、検査できないことがあります。

【 追 記 】
国内では、アフラトキシンが検出されることはほとんどない。
海外産の種実類(ピーナツ等)から検出されることが多い。
食品からカビが出なくてもアフラトキシンが検出されることは理論上あり得るが(死滅・ろ過等)、過去にそのような事例はない。

基準値

総アフラトキシン(B1+B2+G1+G2の合算)10mg/kgを超えてはならない。【食安発0331第6号(平成23年3月31日)】

パンの生菌が58万出ていたが、菌数を抑える対策はないか?

検査を依頼されたパンは、焼かれたパンなので、加熱不十分または製造後の汚染も考えられます。

衛生手袋をしていても食品を汚染するのか?

衛生手袋をされてから時間が経過していたり、その手袋で顔や不潔物等を触ってしまった場合は、食品を汚染する可能性があります。

まな板の拭取り検査の結果が悪く・・・熱湯をかけたり、次亜塩素に漬け込んだりしているのに、どうしても大腸菌群が(+)になる。いったいどうすれば菌が出なくなるのか?傷だらけなので、交換するのが一番良いのは分かっている・・・しかし、大判の木製まな板は高価で、簡単には買い替えられない。

傷が多い部分を中心に洗剤で2~3度繰り返し洗って、十分に汚れを落として下さい。
熱湯をかけると油汚れは落ちやすくなるのですが、逆にタンパク質はこびりついて取れにくくなり、除菌が難しくなることがあります。
熱湯をかけず、よく洗った後に次亜塩素消毒をされる方が良いかもしれません。一度お試し下さい。

次亜塩素消毒は、原液をかけてはダメか?
大判のまな板なので、ペーパータオルを載せて漂白剤を浸み込ませて消毒しているが、それでも大丈夫か?

パッケージに記載されている濃度で使用された方が効果的です。
乾くと効果が薄れるので、ビタビタになるほど十分に浸み込ませて下さい。

耐熱性菌の検査結果は何日後に出ますか? 2日後に分かりますか? カビは?

通常なら4日後に出ます。至急でのご依頼の場合は3日後になります。
通常なら7日後に出ます。至急でのご依頼の場合は7日後になります。
※但し、いずれも弊社営業日での日数です。ご了承下さい。

ボイル丸ダコの検査結果が腸炎ビブリオ(+)だった。ボイルしてあるのに、そんな結果はあり得るのか?

丸ごとボイルの場合、頭や口の部分が加熱不良となりやすく、大腸菌群(+)となることがよくあります。
大腸菌群と腸炎ビブリオは、同じ加熱条件で死滅する菌ですので、加熱後に大腸菌群が生残しているようだと(腸炎ビブリオが潜んでいた場合)腸炎ビブリオも生残しやすいと考えられます。
腸炎ビブリオは、増殖スピードが早い菌ですので、少しの生残も注意が必要です。又、塩分を好む菌ですので、塩ゆで後に生残した場合は、かなり増殖しやすい環境だと言えます。

パイナップルケーキの保存検査で84時間後の生菌数が560,000だった。48時間後の生菌数はどれくらいだったと考えられるか?推定でよいので教えて下さい。

推定するには、せめて初発の結果がないと検討できません。
仮に初発が10以下だったとすると、48時間後では1,000~10,000あたりではないかと思います。
もし初発が10,000だったならば、48時間後もすでに100,000前後だったのではないかと推定されます。

商品(サーモン)の納品先で食品検査を実施したらしいのだが・・・検査結果が「生菌940万 大群29,000」だった。そんなに菌数が高かったら外観に異常が出てくるのではないか?出荷してから菌数がそんなに高くなるのか?確認したい。初発~96時間後までの保存試験を実施し、検査前にサーモンの写真を撮ってもらえるだろうか?

検査前に検体を撮影することは可能です。
但し、写真で見て明らかに外観が変わってくるのは・・・おそらく生菌が1億を超えてからだと推察されます。(ドリップの量等は多少変わってくるかもしれません)
納品先様の検査結果くらいの菌数では、まだ外観に異常は見られず、身崩れを起こしやすい状態ではないかと思われます。

食品検査で赤痢の検査ができますか?検査可能なら納期と料金を教えて下さい。

検査可能です。
検査結果は、検体を受け付けてから最短で3営業日後にFAX連絡可能です。
但し、陽性時(+)は日数が延長されます。

食品検査でO1の検査ができますか? 検体は生の牛肉です。検査可能なら料金を教えて下さい。また、一緒に生菌数や大腸菌群数も検査してもらえますか?

検査可能です。
生菌数や大腸菌群数も同時に検査可能です

 

以上、いかがでしたでしょうか?

 

ご質問等ございましたら、ご遠慮なく食品衛生検査部までお問い合わせ下さい。