源泉・温泉分析(鉱泉分析法指針による分析) | 水質検査 | 水質検査 | 株式会社 東邦微生物病研究所

源泉・温泉分析(鉱泉分析法指針による分析)

新たに掘削された源泉井戸のほか、既設の温泉施設についても10年毎の温泉成分の再分析が義務付けられています。
弊社は、大阪府で民間初の登録分析機関として平成16年以来、近畿圏の数多くの温泉分析を受託し、現地調査を含め豊富な経験を積み重ねてまいりました。
温泉成分分析、温泉可燃性ガス調査は、弊社を是非ご用命ください。

 

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湧水・井戸水ではなく温泉と認められるためには、温泉法第二条の「温泉」を満たすことが求められています。 

(定義)第二条

この法律で「温泉」とは、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。

 
温泉は、 常識的には、文字の通り、「温水」を意味するものと思われがちですが、実は、温泉法では、別表の要件を満たせば冷水でも 「温泉」となりますし、沸騰した水蒸気やガスも 「温泉」 に含まれます。

「別表」の要件のポイントは?

1.源泉から湧出したときの水温が25℃以上であること。  

2.源泉水1kg中の溶存物質(ガスは除く)を1g以上含むこと。
3.指定成分18種類の一つでも規定された以上の量を含むこと。
 
そのため、飲料水と同様な水でも25℃以上あれば温泉となりますし、逆に25℃以下の冷水でも、溶存物質が1g/kg以上か、若しくは1種類の指定成分のみ規定濃度を上まわれば温泉となります。

温泉分析のご案内 

温泉分析は、泉質を決めるための「中分析」、温泉推定試験の「小分析」、飲用として用いるための「飲泉試験」に分かれます。

調査内容、調査日程の打合せ、費用などにつきましては、弊社営業部までお気軽にご相談ください。

 

中分析について 

泉質を決定するための試験です。現地調査が必須となります。

持込試料については、現地調査が不実施となることから、泉質が温泉に該当する場合でも、報告書名は「温泉分析書」ではなく「水質分析書」となり「泉質名」は記載することができません。

試験分析の結果、「療養泉」に該当しない場合は、温泉分析書の「別表」は未添付となります。

また、温泉法の温泉に該当しない場合は、報告書名は、「水質分析書」となります。 

 

通常納期は、2週間前後を要しますが、至急扱いの場合は、割増料金をいただきます。

試 験 項 目

現地調査及び試験

  知覚的試験

  湧出量

  泉温

  ガスの発生確認

  pH値

  硫化水素の定性

  滴定可能な硫黄の定量

  遊離鉱酸の定量

  遊離二酸化炭素の定量

  炭酸水素イオン

  鉄(Ⅱ)・鉄(Ⅲ)イオンの定性と定量

試験室における試験

物性試験

  知覚的試験

  密度

  pH値

  蒸発残留物

陽イオン

  リチウムイオン

  ナトリウムイオン

  カリウムイオン

  アンモニウムイオン

  マグネシウムイオン

  カルシウムイオン

  ストロンチウムイオン

  バリウムイオン

  アルミニウムイオン

  マンガンイオン

  鉄(Ⅱ)イオン

  鉄(Ⅲ)イオン

  銅イオン

  亜鉛イオン

陰イオン

  フッ素イオン

  塩素イオン

  臭素イオン

  ヨウ素イオン

  亜硝酸イオン

  硝酸イオン

  チオ硫酸イオン

  硫酸イオン

  リン酸

  炭酸水素イオン

  炭酸イオン

非解離

  メタケイ酸

  メタホウ酸

ガス

  遊離二酸化炭素

  総硫化水素

微量成分

  総水銀

  鉛

  銅

  総ヒ素

  総クロム

  カドミウム

その他

  IM泉効計によるラドンの定量(222Rn)

  TOC計による無機炭素定量

  電気伝導率

  酸化還元電位 

 

 小分析  

温泉法に規定する温泉若しくは療養泉の泉質の推定などを目的とした試験です。
泉質の経年変化の検討にも利用できます。(主として持込試料について試験)

 

通常納期 10営業日

試 験 項 目

摘  要

知覚的試験

 泉質の推定

pH値

 酸性泉若しくはアルカリ泉の推定

電気伝導率

 溶存物質による塩類泉の推定

蒸発残留物

 溶存物質による塩類泉の推定

塩化物イオン(Cl-)

 塩化物泉の推定

硫酸イオン(SO42-)

 硫酸塩泉の推定

炭酸水素イオン(HCO3-)

 炭酸水素塩泉の推定

遊離二酸化炭素(CO2)

 二酸化炭素泉の推定

ナトリウムイオン(Na+)

 塩類泉の陽イオン主成分の推定

カルシウムイオン(Ca2+)

 塩類泉の陽イオン主成分の推定

 

飲泉試験

飲泉利用の申請には、1)~3)の試験が必要です。

1) 飲用利用判定試験

微生物学的衛生管理
飲用に供する温泉は、飲泉口において採取したものについて、年1 回以上、一般細菌
及び大腸菌群の検査を行い、別表の基準値に適合していることを確認すること。また、
着色が認められる場合等必要に応じて、全有機炭素を検査すること。検査の結果、不良
の判定を得たときは、直ちに飲泉を中止し、その原因を排除すること。


一般細菌、大腸菌群等の検査結果を記録し、都道府県知事等から測定結果について報
告を求められたときは、直ちに提出できるようにその記録を保管しておくこと。

 

試 験 項 目

基準値

臭気

異常なし

異常なし

色度

異常なし

濁度

異常なし

全有機炭素(TOC)

5mg/L以下

一般細菌

100個/mL以下

大腸菌群

検出されないこと

通常納期 7営業日

2) 成分別禁忌症のための飲用許容量判定試験

成分別禁忌症の判定

ナトリウムイオン

カリウムイオン

マグネシウムイオン

よう化物イオン

通常納期 7営業日

3) 飲用許容量判定試験

成分別飲用許容量の判定

ひ素

ふっ素

水銀

遊離炭酸

pH

 通常納期 7営業日

ご報告

中分析は、療養泉に該当する場合、温泉分析書(鉱泉限界値対照表も含む)と温泉分析書別表のセットでのご報告となります。

放射能泉の試験結果は、放射能泉試験結果報告書でのご報告となります。

飲用泉の試験結果は、飲用泉試験結果報告書によりご報告します。

小分析の試験結果は、温泉への適合可否の可能性についてのコメントを付記し、鉱泉小試験分析報告書によりご報告します。

 

温泉分析書・別表発行システムについて、平成26年版鉱泉分析指針に沿ったシステムに刷新いたしました。

お客様のご要望に合わせた柔軟な分析書の発行が可能となりました。

各書式のサンプルは、下の画像をクリックしてください。

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温泉分析書   温泉分析書・別表   鉱泉限界値対照表  

 

温泉分析書(オプションサービス)

賞状書式

高品質紙を用いた横型・賞状書式による温泉分析書と別表を発行いたします。一般公開用として最適です。

 なお、料金は別途ご請求させていただきます。

 

鉱泉の定義

温泉は、昭和23年に制定された「温泉法」により、地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、表1の温度又は物質を有するものと定義されています。

表1
1. 温度(温泉源から採取されるときの温度)
  摂氏25度以上
2. 物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ)
物質名 含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く。) 総量1,000mg以上
遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素) 250mg以上
リチウムイオン(Li+ 1mg以上
ストロンチウムイオン(Sr2+ 10mg以上
バリウムイオン(Ba2+ 5mg以上
フェロ又はフェリイオン(Fe2+,Fe3+)(総鉄イオン) 10mg以上
第一マンガンイオン(Mn2+)(マンガン(Ⅱ)イオン) 10mg以上
水素イオン(H+ 1mg以上
臭素イオン(Br-)(臭化物イオン) 5mg以上
沃素イオン(I-)(ヨウ化物イオン) 1mg以上
ふっ素イオン(F-)(フッ化物イオン) 2mg以上
ヒドロひ酸イオン(HASO42-)(ヒ酸水素イオン) 1.3mg以上
メタ亜ひ酸(HASO2 1mg以上
総硫黄(S) [HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの] 1mg以上
メタほう酸(HBO2 5mg以上
メタけい酸(H2SiO3 50mg以上
重炭酸そうだ(NaHCO3)(炭酸水素ナトリウム) 340mg以上
ラドン(Rn) 20(百億分の1キュリー単位)以上
ラジウム塩(Raとして) 1億分の1mg以上

療養泉の定義

療養泉とは、温泉(水蒸気その他のガスを除く。)のうち、特に治療の目的に供しうるもので、表2の温度又は物質を有するものと定義されています。

表2
1. 温度(温泉源から採取されるときの温度)
  摂氏25度以上
2. 物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ)
物質名 含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く。) 総量1,000mg以上
遊離炭酸(CO2)(遊離二酸化炭素) 1,000mg以上
フェロ又はフェリイオン(Fe2++Fe3+)(総鉄イオン) 20mg以上
水素イオン(H+ 1mg以上
よう化物イオン(I-) 10mg以上
総硫黄(S)〔HS-+S2O32-+H2Sに対応するもの〕 2mg以上
ラドン(Rn) 30(百億分の1キュリー単位)以上

 H26.7.1付で療養泉の定義が改訂(アルミニウムイオン、銅イオン基準を削除し、よう化物イオンが復活しました。)

お知らせ

平成26年7月1日付け環自総発第1407012号環境省自然環境局「温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準」と鉱泉分析法指針(平成26年版)が通知されたことから、療養栓の定義、禁忌症、適応症、入浴・飲用の注意事項などが大幅に改訂されました。

基準の詳細については、こちらをご覧ください。お役立ち情報「平成26年7月環境省通知「禁忌症及び入浴又は飲用上の注意事項」について(医学的解説)」

今回の環境省通知に関する温泉事業者のご対応について

現在の掲示内容に係る温泉成分分析書の作成年月日から10年以内に限っては,改正前の環境省通知「温泉法第14 条の運用について」(昭和57年5月25日環自施第227号環境庁自然保護局長通知)に基づく掲示内容が適用されることから、提示変更の義務はありません。

 

しかし、環境省通知(2014年7月1日)時点において、現在掲示されている内容について,本通知に沿って変更することが望ましく、既存の掲示内容からの変更届出は,登録検査機関による再分析結果に基づくことが望ましいものと思われます。

 

そこで、2014年7月1日から過去10年以内に分析された温泉分析書に基づいて掲示内容のみを変更する場合は,予め保健所等に変更届出の手続きについてご相談のうえで、弊社の新基準に基づく「温泉分析書・別表の再発行サービス」をご利用くださいますよう、お願い申し上げます。

 

参考(環境省サイト)

「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」環境省一般向けパンフレット

温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準(自然環境局長通知)(平成26年7月1日改訂) [PDF 169KB]

温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等について(自然環境整備担当参事官通知) (平成26年7月1日改訂)[PDF 53KB]

温泉法第18条第1項の規定に基づく禁忌症及び入浴又は飲用上の注意の掲示等の基準新旧対照表 [PDF 208KB]

鉱泉分析法指針(平成26年改訂)(平成26年7月)[PDF 2,493KB]

新旧泉質名対照表 [PDF 38KB] 

 

関連外部リンク

環境省「温泉の保護と利用」

公益財団法人 中央温泉研究所

温泉学会

日本温泉科学会

日本温泉気候物理医学会