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農薬使用の現状について

 

お客様より、食品の残留農薬の検査やご相談を承りますが、食品の残留農薬については輸入農産物から日本では使用できない農薬が検出されたり、加工された餃子から農薬が検出されたりして、農薬の安全性には消費者も販売者も神経質にならざるを得ません。

今日の農薬の使用の現状と課題について、すこしお話しをさせていただきます。

 

農薬使用の必要性

農薬の使用は、農作物を病害虫から守り効率よく栽培するには最も有効な手段と考えられており、日本国内でも農薬を使用されるのが一般的です。

スーパーマ-ケットなどの店頭に並んでいる野菜や果物を見ると、きれいで形や大きさが揃っていて、虫食いあとのあるような商品は見られません。

曲がったきゅうりや虫食いのあるリンゴなどは消費者が好んで購入しませんし、商品として適さないものとなります。

 

大きさの不ぞろいの野菜や果物は、流通の効率を妨げます。例えば、きゅうりを流通するのに、きゅうりの大きさに合わせて箱を作りません。箱の大きさに合わせてきゅうりを作ります。

したがって、店頭では同じ長さのきゅうりが販売されるようになります。

このように、病気や虫食いのないきれいな野菜や果物、大きさの揃った野菜や果物を効率よく栽培するためには農薬の使用が必要になります。

 

家庭菜園をされている人は、野菜などの栽培に農薬を使用された経験があると思いますが、葉物などは、種まきから収穫まで全く農薬を使用せず病気や虫食いのないきれいなものを栽培することは難しいものです。

農作物の栽培は、天候など自然の影響を受け易いので、安定した収穫を求めるため生産者は効率の良い栽培を求めます。

また、消費者や販売者の要求に応える農産物を栽培する苦労もあります。販売者は消費者のニーズに応え、安価で安定した供給ができるよう努力されています。 

農業の効率性と農薬

農薬の使用は、農業就業人口の減少による労働力不足を補うことに役立ちます。

農家では農薬を使用することにより、農産物の収穫量が上がり、労働時間も短縮されます。

(「病害虫と雑草による農作物の損失」日本植物防疫協会)によると、農薬を使用しないで栽培すると、水稲で76%、りんごで3%、かきで25%、キャベツで33%、きゅうりで39%、トマトで64%、だいこんで61%の収穫量が減少します。

 

農薬を使用することにより、手取り除草などの重労働、長い労働時間が軽減、短縮されます。

除草剤の使用により、除草時間:50.6時間(1949年)が1.6時間(2005年)/10aに短縮されました。

このように、農作業を軽減し、野菜や果物を安く安定して供給するためにも農薬の使用が欠かせません。

農薬の有害性 と基準

農薬の使用は良い事ばかりではありません。害虫を駆除する農薬は人体にも影響を及ぼす恐れがあります。

そのため、農薬の使用には、農薬取締法(農林水産省)と食品衛生法(厚生労働省)により厳しく規制されています。

農薬の使用は農作物の栽培中のみ認められており、収穫後の使用は禁止されています。

 

輸入果物などに使用されている「ポストハーベスト農薬」は例外です。

農産物や畜産物には残留基準が設定されており、基準を超えたものは販売できません。畜産物にも飼料由来で農薬が残留する恐れがあります。

農薬取締法では、農薬の登録制度(国「農林水産省」に登録された農薬のみが製造、輸入、販売、使用ができます。)や使用基準(農薬を使用するものが遵守すべき基準を定める省令)が定められています。

現在使用が禁止されている農薬は無登録農薬と21種類の使用禁止農薬(DDT,BHC,パラチオンなど。)です。これらの農薬は農家の田畑はもちろん、家庭菜園や庭の草花にも使用できません。

 

使用基準では、1.使用できる作物、2.使用できる量(希釈倍数)、3.使用時期、4.使用回数などの使用方法が定められており、間違った使用がされないようにこれらの事項が農薬のラベルに記載されています。

農薬は使用が許されている薬剤であっても、きちんと定められた使用法を守ることにより安全が担保されます。これらの法律に違反すると懲役、罰金の罰則が科せられます。

 

食品衛生法では、人の健康をそこなう恐れのある食品の販売の禁止(第6条)で食品の安全性の確保がされています。

「食品、添加物等の規格基準」で食品に残留する農薬の限度を「残留基準」として設定されています。

平成18年5月29日に食品中に残留する農薬等の新しい制度(ポジティブリスト制度)が施行されました。これにより、農産物や畜産物など全ての食品に農薬の残留基準が設けられ、農薬の残留には厳しい規制が科せられました。

 

農薬の残留基準とは、農薬の成分ひとつひとつに、また食品の品目ひとつひとつに「超えてはならない量」を濃度(ppm)として設定されています。

「越えてはならない量」はADIの80%以下に設定されています。

ADIとは「1日摂取許容量」のことで、ヒトが一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康に影響を及ぼさないと判断される量のことです。

このように、日本の農産物や畜産物などは農薬取締法と食品衛生法により厳しく監視されています。これらの厳しい法律を守ることにより日本の食品は安全で安心であるといえます。

無農薬栽培

しかし、いくら安全で安心でも、農作物の栽培に農薬を使用しないにこしたことはありません。近年、無農薬栽培、無農薬有機栽培、減農薬栽培などの名称で農産物が販売されるようになりました。

無農薬栽培と有機栽培は何が違うのかなど、表示があいまいで消費者の適正な商品選択に支障を来たすことにもなりました。それで、農林水産省は有機食品の表示に一定の基準を設け、JAS認証制度を設定しました。

 

表示には次のようなものがあります。

 

■有機栽培農産物

一定の農場で一定期間(3年)以上無農薬、無化学肥料で栽培した農産物のみ「JAS」のマークをつけること、「有機」の表示をして販売することができます。

即ち、有機の表示のある農産物には必ずJASマークがついています。JASマークのない有機農産物は有機農産物として販売できないことになりました。

認定後も記録の記帳も義務付けられ、毎年認証機関の監査があります。違反した時の罰則も設けられています。(有機食品の検査認証制度/平成21年10月27日施行)

 

■特別栽培農産物

農林水産省の特別栽培農産物に係るガイドラインに次のように示されています。適用の範囲は、農産物(野菜及び果実(加工したものを除く。)並びに穀類、豆類、茶等で乾燥調整したものをいう。)で不特定多数の消費者に販売されるものに適用する。とされています。

栽培方法は、農産物を生産するときに使用される農薬の使用回数がその地域の同時期に慣行的に行われている使用回数の5割以下であること。化学肥料の窒素成分量が慣行レベルの5割以下であること。

また、特別栽培米とは特別農産物をとう精(精米)したものとなっています。(平成16年4月施行)

しかし、農薬、化学肥料の使用回数は地域によって違うため、栽培している農家も十分に把握しづらくわかりにくいようにも思えます。

 

これまで使用されていた、「無農薬栽培」「無化学肥料栽培」「減農薬栽培」「減化学肥料栽培」などの表示は農林水産省のガイドラインで「特別栽培(農産物)」に統一されました。

例えば、無農薬栽培と表示されていても、収穫された農産物に農薬が一切残留していないとはかぎりません。隣接の田畑からの農薬のドリフト(飛散)や土壌由来で農薬が残留する恐れがあるためです。

また、「減農薬栽培」と表示され、農薬の使用回数を減らして栽培しても、最後に農薬を散布した日から収穫される日が近ければ農産物に濃度の高い農薬が残留する恐れがあります。

このように、消費者が誤解を招く恐れがあったため表示が規制され、「有機栽培農産物」と「特別栽培農産物」の表示に限定されました。

有機栽培農産物や特別栽培農産物のどちらにしても、書類の作成、管理などの手間がかかります。特に有機農産物の認定には、申請料金、毎年支払う検査費用、そして事務処理などの経費がかかり、その分商品価格が高くなります。

現在、農作物の栽培は農薬や化学肥料の使用が主流ですが、これからは、農薬や化学肥料を使わないで栽培する有機農産物を求める消費者が増えてくると思われます。

少々高くても有機栽培された野菜や果物を購入するか、また農薬は使用していても法律の基準をクリアされたきれいで虫食のない野菜や果物がよいのか、消費者の選択するところとなります。

 

 

ポストハーベスト農薬とは

「アメリカなどから輸入される柑橘類などは、船での輸送中にカビなどが発生し商品価値がなくなる恐れがあります。したがって出荷の前に直接防カビ剤などの農薬を散布します。これをポストハーベスト(収穫後)農薬といいます。

しかし、日本の法律に違反するので、これらの一部のポストハーベスト農薬を食品添加物として定義していす。」

本文内容の一部に農林水産省のホームページより引用しています。