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ホタルとATP

 

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子供の頃、初夏の日没後川辺や畦道を歩いていると、目の前を黄色の光の帯が横切るのを見たものです。

その美しい光景は魅力的で私達の心を捉えて放しません。

ホタルは美しい光を放つ魅力的で不思議な昆虫ですが、近年、自然環境の破壊や汚染によりホタルは減少の一途をたどり、都会ではほとんど見ることが出来なくなりました。

 

今回は、そんなホタルたちの生態と不思議(発光のメカニズム)、そしてそのメカニズムを利用した技術についてご紹介いたします。

  

種類

私達は光る昆虫をホタルと呼んでいますが、その種類は非常に多く全世界では2000種。日本国内では40数種が確認されています。

しかしすべての種が発光するのではなく、幼虫期は発光するものの、成虫になってからは発光しない種もいます。

成虫になってからも発光するのは全体の半数以下で、外部から刺激を受けたときにわずかに光るという種がほとんどです。

昔から人々が美しい光に魅了され慣れ親しんできたホタルは、ほとんどが「ゲンジボタル」、「ヘイケボタル」、「ヒメボタル」の3種です。

 

分類

ホタルは、卵・幼虫・蛹・成虫と、成長の過程で形態を変化させる完全変態の昆虫です。

分類学上での分類は次の通りです。

 

昆虫綱

→ 有翅昆虫亜綱(ゆうしこんちゅうあこう)

      → 甲虫目(鞘翅目)  (こうちゅうもく しょうしもく) 

             → カブトムシ亜科

                   → ホタル科

 

形態

ゲンジボタルの雄は体長10~18㎜、体幅は約5.3㎜、雌は体長15~20㎜、体幅は約6㎜で雄より大きいです。雌雄ともに体は黒褐色で前胸は淡赤色、背面中央に細い黒の十字模様が特徴。(地域により十字模様に変異がある)

発光器は腹部にあり、雌雄で違いがある。雄は第6節と第7節の2節が発光するのに対し、雌は第6節の1節だけが発光する。

  

生活史

ほとんどのホタルは一生を陸上で過ごし、幼虫を水中で過ごすのはゲンジボタルとヘイケボタル、クメジマホタルの3種だけです。中でもゲンジボタルは卵(水辺)→幼虫(水中)→蛹(土中)→成虫(空中)と変態を行うごとに生活場所を変える特異な存在です。

 

発生時期

ゲンジボタルの成虫が飛び始めるのは、九州地方では5月上旬頃、東北では7月に入ってからです。また高地では8月でも見られます。ヘイケボタルは発生の期間が長く8月下旬まで見ることが出来ます。

 

発光のメカニズム

ホタルの発光の仕組みは、ドイツの生理学者デュ・ボア・レーモンが1885年に発見しました。

ホタルの発光器は、発光細胞、反射細胞、神経、気管から成り立っています。

発光には、ルシフェリン(Luciferin)・ルシフェラーゼ(Luciferase)・ATP(Adenosine Tri Phosphatel:アデノシン三燐酸)が作用しています。

 

・ルシフェリン(Luciferin)

  ホタルの尻にある発光細胞で生成される発光物質

 

・ルシフェラーゼ(Luciferase)

  ルシフェラーゼは、ホタルが生成可能な酵素で、触媒として働き、酸化反応を促進させます。

 

・ATP(Adenosine Tri Phosphatel:アデノシン三燐酸)

アデノシン三燐酸は生物共通のエネルギー源で、すべての生物の体内エネルギーの受け渡しに作用しています。

我々人間はもちろん、菌類までもATPを持っています。

  

ホタルの発光の仕組みは

細胞で生成される発光物質ルシフェリンと生物の共通のエネルギー物質ATPが酵素ルシフェラーゼとマグネシウムイオンを触媒として反応を起こし発光します。

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発光のメカニズムを利用した技術

現在では、解明されたホタルの発光反応を利用した新しい技術が出来ています。皆さんご存知のしょうゆメーカーのキッコーマンがバイオテクノロジーを使いルシフェラーゼの量産化に成功し、ルミテスターという微生物汚染検査装置を販売しています。

 

そもそもATPは全生物共通のエネルギーであるため、どの生物でも持っています。それを利用し、ルシフェリンとルシフェラーゼを反応させて発光させ、発光の有無と発行量を機械で測定するものです。この装置により、食品製造過程の微生物汚染レベルの検査がスピーディーに行えるようになりました。

  

私達の心を魅了するホタルたちの美しい光が、微生物検査という分野で利用されるのは驚きです。

最近では自然環境の破壊により、ホタルをほとんど見ることが出来なくなりましたが、これを期にホタルや自然環境保護について考えてみてはいかがでしょうか。