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米(玄米および精米)のカドミウムについて

 

 

 米のカドミウムに関する成分規格が2011年2月末に改正されています。

今回は、このカドミウムを中心に、ご紹介したいと思います。

カドミウムの用途

カドミウムは、金属光沢を持つ灰白色で柔らかい金属であり、主に電池(ニッケル・カドミウム電池)の電極に用いられている。

かつては顔料としても用いられていたが、近年ではその毒性の問題や各国の規制により、大半がカドミウム不使用の顔料に置き換わっている。

 

食品からのカドミウム摂取

農林水産省の食料需給表によると、日本人1人当たりの米の消費量は118.3kg/年(1962年)から61.4kg/年(2005年)と減少しているが、図.1のように、近年でも日本人は主食である米からカドミウムの多くを摂取している。

カドミウムの摂取量としては2007年のデータで21.1μg/人/日(日本人の平均体重53.3kg)である。食品安全委員会が2008年に設定した耐容週間摂取量(7μg/kg体重/週)より、日本人の平均体重を53.3kgとした場合は373.1μg/週であることから、耐容週間摂取量のおよそ40%を摂取していることになる。

 

図.1日本におけるトータルダイエット調査(2005年)

 

カドミウムの毒性

食品から長期的に低濃度のカドミウムを摂取した場合、腎臓の近位尿細管障害が起こり、近位尿細管での低分子たんぱく質などの再吸収機能が低下するため、低分子量タンパク(β2-ミクログロブリンなど)の尿中排泄量の上昇が認められる。

尿中排泄量の上昇は、すぐに治療が必要な腎疾患ではなく、低濃度のカドミウムを摂取し続けた場合に、早期に認められる影響である。

カドミウムはイタイイタイ病を引き起こした原因物質として知られている。

妊娠、授乳、老化、栄養不足に高濃度のカドミウムの長期摂取が重なったために起こった健康被害であるが、症状の一つである骨の軟化に関しては、カドミウムの直接的な毒性であることを否定する調査報告も報告されている。

発がん性については、IARC(1993年)がグループI(ヒトにおいて発がん性があると判断するために十分な根拠がある)と評価している。

根拠としているのは、職業(吸入)曝露による肺がんリスクの高さであるが、この曝露モデルに疑義があるとの報告もある。

また、日本のカドミウム汚染地域住民を対象とした疫学調査において、カドミウムと発がんについての証拠は報告されていない。

 

米(玄米および精米)のカドミウムに関する成分規格

図.1からわかるように日本人は食品の中でも、特に米からのカドミウムの摂取が大半を占めるため、玄米のカドミウムのとして1.0mg/kg未満、精米として0.9mg/kg未満という基準が設定されていた。

2006年に開催されたコーデックス委員会総会によって精米について、0.4 mg/kgという基準値が採択され、それを受けて日本でも米の成分規格を改正することとなり、2009年に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会において精米、玄米とも0.4ppm以下に改正されることとなった。

この改正は、2011年2月28日から適用されている。

 

成分規格の改正に伴う影響

改正前では、0.4ppm以上1.0ppm未満の米は農林水産省の指導により非食用として処理され、1.0ppm以上を含む米は焼却処分されていた。即ち、基準では1.0ppm未満となっていたが、食用として扱う米は実質0.4ppmとして処理されてきた経緯がある。

そのため、カドミウムの成分規格の改正は、実情に沿った形に成分規格を改正したものといえる。

 

参考文献

厚生労働省(2006) 食品からのカドミウム摂取の現状に係る安全性確保について(案)

厚生労働省(2009) 食品中のカドミウムの規格基準の一部改正について

香山不二雄 食品中のカドミウムの安全性について 2009、自治医科大学