毒きのこ | 食中毒 | お役立ち情報 | 株式会社 東邦微生物病研究所

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毒きのこ

内閣府 食品安全委員会e-マガジン【読み物版】 【生活の中の食品安全-毒キノコに気を付けよう】  平成28年9月16日配信より転載

 

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秋になるとおいしい食べものが多く出回りますが、その中でもキノコは代表的な秋の味覚です。

しかし、統計によれば、過去10年間(平成18~27年)にキノコを原因とした食中毒はおよそ500件発生し、患者数が約1,500名、うち5名の方が亡くなっています(厚生労働省「食中毒統計調査」)。

 

キノコは「菌類」 -意外に少ない食用キノコ

キノコは、スーパーなどのお店では野菜売場の近くで目にすることが多いので、野菜の仲間と勘違いしている方もいるかと思います。

キノコは、カビと同じ「菌類」に属しており、種ではなく「胞子」で増えていきます。

キノコは、葉緑素を持っていないため、光合成によってエネルギーを生産できません。

このため、落ち葉などに自身の菌糸を張りめぐらせて、そこから栄養分を得て生きています。

繁殖に必要な「胞子」を生産するため、菌糸の集合体である子実体(しじつたい)を作ります。この子実体が「キノコ」と呼ばれているものです。

我が国には、正確な数は分かっていませんが、4,000~5,000種類ものキノコが存在していると言われています。

食べることができると言われているキノコは約100種類、対して食べると中毒となるいわゆる「毒キノコ」は食用の倍の200種類以上が知られています(林野庁)。

残りの大半のキノコは、毒性の有無自体も分かっていません。

食べることができるキノコは意外に少ないのです。野生のキノコは、安易に採って食べないようにして下さい。

 

食中毒を起こすキノコ -特に多いのは「ツキヨタケ」

特に中毒例が多いキノコは、(1)ツキヨタケ、(2)クサウラベニタケ、(3)テングタケです。

ツキヨタケによる食中毒事件は、食べることができるシイタケやヒラタケとよく似た形状のため、過去10年間(平成18~27年)で206件と、キノコによる食中毒事件全体の約4割(42%)、患者数で見るとほぼ半分(746名)を占めています。

次いで、ホンシメジなどに似ているクサウラベニタケが87件、テングタケが18件となっています。

 

≪参考≫厚生労働省:「自然毒のリスクプロファイル:キノコ:ツキヨタケ」

http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/kinoko_06.html

 

キノコ毒の作用と中毒症状について -死に至る場合もあります

キノコ毒による中毒は、その作用別に(1)消化器障害型、(2)神経障害型、(3)原形質毒性型の3つに分類されています。

消化器障害型

胃や腸などの消化器系に作用し、食後30分~3時間でおう吐、下痢、腹痛などの症状を起こします。ツキヨタケ、クサウラベニタケなどを食べるとこうした症状が起こります。子供や高齢者は少しの量を食べても重症化することがありますので、注意が必要です。

神経障害型

神経系に作用し、食後30分~2時間ほどで激しい発汗、しびれ、幻視、幻聴、知覚麻痺(まひ)、激しい頭痛、めまいなどの症状を起こします。テングタケ、シビレタケなどを食べると、このような症状があらわれます。重症になると、呼吸困難、精神錯乱、意識障害や、激痛が1カ月以上も続く場合があります。ツキヨタケに次いで食中毒が多いクサウラベニタケは、消化器障害と神経障害の両方の中毒症状を引き起こすことが知られています。

原形質毒性型

体内の様々な臓器に作用し、腹痛、おう吐、下痢から始まり、肝不全、腎不全、循環器不全の併発といった全身症状を起こします。この型は、致死率が高い特徴があります。食べてから発症までの時間は10分~10時間以上と幅があります。過去10年間のキノコによる食中毒事件の5人の死亡者のうち、2人がこの型に分類されるニセクロハツによるものでした。

 

とても難しい毒キノコの見分け方 -言い伝えは信じない

毒キノコは、食べることのできるキノコと外見がよく似ているものも多く、専門家でも見分けるのはとても難しいのです。

また、図鑑などの図や写真は、そのキノコの種類の一例にすぎません。図鑑を見て毒キノコかどうかを判断するのは非常に難しく、そうした方法で見分けたキノコを食べることはとても危険なことです。

「地味な色のキノコなら食べられる」、「柄が縦に割けるキノコは食べられる」、「虫が食っているものなら大丈夫」といったいろいろな言い伝えは、「迷信」です。

「加熱調理などでキノコの毒消しができる」という言い伝えにも全く根拠はありません。こうした「言い伝え」を信じてはいけません。

かつて食べられるキノコとして広く食べられていても、「食べてはいけない」キノコになった「スギヒラタケ」のようなキノコもあります。

平成16年、スギヒラタケは、腎機能障害を持つ人が食べると急性脳症を起こし、死に至ることがあると分かりました。その後、腎機能に異常のない人でも中毒事例が出たことから、食べないようにという注意喚起が出されました(平成16年以降。厚生労働省、農林水産省。)。

スギヒラタケは、「昔から食べていた」と周りの人に言われても、食べないようにして下さい。また、回りの人が食べようとしていたら忠告して下さい。

 

≪参考≫厚生労働省:「自然毒のリスクプロファイル:キノコ:スギヒラタケ」

http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/kinoko_04.html

 

キノコを食べる際、気を付けること -加熱する

キノコは、加熱して食べるものです。

食用として栽培されたシイタケやエリンギなども生や加熱が不十分な状態で食べると、アレルギー症状が起こることがあります。

高級食材のマツタケについても、採取して日が経つと傷み、ヒスタミンという食中毒を起こす物質が発生し、吐き気やおう吐が起きることがあります。新鮮なものを、よく火を通してから、食べて下さい。

キノコは食物繊維を多く含んでおり、あまり消化は良くありません。一度にたくさん食べると消化不良を起こすことがあるため、適量食べるように心がけて下さい。

 

毒キノコによる食中毒に関するQ&A

 

食中毒になることが多い毒キノコは、どんなものがありますか?

 

過去10年間(平成18~27年)の統計(厚生労働省)によれば、約500件の事件数のうち約4割が「ツキヨタケ」で、患者数では5割を占めています。

これは、シイタケやヒラタケとよく似た形状です。次いで、「クサウラベニタケ」、「テングタケ」による事件が多く、この3つで全体の65%を占めています。

 

知人は図鑑を持っていけば、キノコが食用か毒かは分かるので、心配ないと言っています。本当に大丈夫でしょうか。

 

毒キノコは食べられるキノコと形がよく似ているものがあり、見分けることはとても難しいです。

図鑑は例示にすぎず、そうした方法で見分けたキノコを食べることは危険なことを認識しておきましょう。

 

「柄が縦に裂けるキノコは食べられる」と知人が言っていました。信用してもよいでしょうか。

 

「柄が縦に裂けるものは食べられる」

「地味な色をしたキノコは食べられる」

「虫が食べているキノコは食べられる」

「ナスと一緒に料理すれば食べられる」

「干して乾燥すれば食べられる」

「塩漬にして、水洗いすると食べられる」

などの様々なキノコに関する言い伝えがありますが、全て迷信です。信じてはいけません。

 

「スギヒラタケ」は食べてはいけないと言われましたが、お年寄りは、以前は普通に食べてきたと言います。どういうことでしょうか?

 

スギヒラタケは、以前は食べられるキノコとして知られており、図鑑にも食べられるキノコとして掲載されていました。

しかし、平成16年に食中毒事件が発生し、腎機能障害を持つ人が食べると急性脳症を起こし、死に至ることがあると分かりました。

また、その後、腎機能に異常のない人でも中毒事例が出たのです。

そこで、今では、スギヒラタケについて、「食べないように」と言う注意喚起が出されています(平成16年以降。厚生労働省、農林水産省。)。

 

おわりに 

キノコによる食中毒事件は、ほぼ9割が、毎年、秋(9月~11月)に集中して起きています。

事件発生のほとんどが、家庭であることも大きな特徴です。

秋の行楽で山にキノコ狩りに出かけ、食べられるキノコとよく似た毒キノコを間違って採取して、食べてしまい、食中毒を起こすケースが大半だからです。

繰り返しになりますが、一般の方が、外見で毒キノコを見分けることは困難です。安易に採って食べないで下さい。

万が一、野生のキノコを食べて体調に異常を感じたら、直ちに病院を受診して下さい。

 

≪参考≫

食品安全委員会:「食中毒予防のポイント 毒キノコによる食中毒にご注意ください」

http://www.fsc.go.jp/sonota/kinoko_tyudoku.html 

厚生労働省:「毒キノコに注意しましょう」

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/kinoko/

林野庁:「きのこ」のはなし

http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/kinoko/index.html