「分析」と「分離」 | 理化学分析 | お役立ち情報 | 株式会社 東邦微生物病研究所

カテゴリー

 
  このエントリーをはてなブックマークに追加
250-7
  LINEで送る
250-7
250-7 ノロウイルス検査のご用命は弊社に! 250-7 download access-map biginners_help campaign annai-5土曜日も営業対応しています。電話、E-Mailでお気軽にご相談ください。 技術的なお問合せには検査担当のスタッフが丁重にお答えします kyoninka-touroku

「分析」と「分離」

 

分析における分離操作は、最も基本的な操作であり、分析=分離といっても過言ではありません。

分離分析とは、物質を構成単位に分離して分析する手法を指します。

特定成分を分離する場合は、例えば、磁石で砂の中から砂鉄を回収するように物性の違いを利用します。

分離分析において活用される物性は、沸点・異種溶媒間の分配比・溶解度・吸着・電磁気力・親和性など多くあります。

分離のための方法には、蒸留操作・溶媒抽出・沈澱生成・クロマトグラフィー等があります。

 

溶媒抽出法

 38s

「溶媒抽出法」は、水と油のように相互に接した不溶な溶媒間において、溶けている物質(溶質)の濃度が2つの液層に偏って分配する現象を利用した物質分離法です。

溶媒抽出用の溶媒には、一般的に水と有機溶媒が用いられ、水層には主にイオン性の化合物、有機層には中性で疎水性の物質が抽出されます。

溶媒抽出では、複数の溶媒相における溶質の平衡分配の差が鍵となります。

この平衡分配の差を表すものとして、化合物MのA相-B相間の分配比Dを定義します。

 

分配比D =(B相中のMの濃度) / (A相中のMの濃度)

 

つまり、B相への抽出は分配比Dが大きいほど起こりやすいことを表しています。

 

水相から有機溶媒相へ目的物質を抽出する場合、有機相へ抽出されやすい溶質は水よりも有機溶媒に対する親和性が大きい、言い換えると、水よりも有機溶媒によく溶けるものです。

この性質を持つ分子は、中性の分子や無極性分子並びに疎水性の分子であり、一方、イオン性の分子や極性分子並びに親水性の分子は水和されやすく、有機溶媒相には抽出されにくくなります。

有機溶媒層に対して分析対象の化合物やイオンを効率良く抽出するために、最適な有機溶媒を選択するとともに、pH調整、キレート形成などの操作により、目的成分を中性分子、無極性分子、疎水性の分子に変換します。

分析対象が金属イオンの場合は、水中において水分子が配位したアクア錯体を形成して分配比Dは小さいため、金属イオンと強く結合する陰イオン性キレート剤を添加し、金属イオンの電荷を中和させれば分配比Dが大きくなります。

 

キレート剤に求められる性質としては

①   金属イオンとの錯体生成定数が大きいこと。

②   配位により中性のキレートを生成すること。

③   配位数が満たされ水分子の配位がないこと。

④   錯体は、疎水性であること。

などが必要とされます。

 

他の共存金属イオンから分離させるという点で求められる性質としては

①  目的とする金属イオンとの錯体生成定数が特に大きいこと。

②  目的とする金属イオン以外では中性錯体にならない

などが必要とされます。

 

マスキング

 

マスキング剤は、他の共存金属イオンと結合しキレート剤との錯体生成を防ぐことによって共存金属イオンによる影響を除去することを目的として添加します。

従って、キレート剤による抽出分離を補助するため、マスキング剤の添加がよく行なわれます。

また、キレート剤の錯体生成を助ける協同効果試薬もあります。

これは、配位水分子の置換や錯体の疎水性の向上などにより目的とする金属イオンの分配比Dを大きくする作用があります。

キレート剤、マスキング剤、協同効果試薬は、高感度・高機能の試薬が各種市販されています。

  

クロマトグラフィーによる分離

 30s    49s

クロマトグラフィー(chromatography)という言葉は“色(chroma)”と“書く(graphos)”という言葉が組み合わせたものであり、昔、葉緑素などの色素の分離に用いられたことに由来しています。

 47s

試料を含む流体(移動相)を不溶性の物質(固定相)の間隙に通してやると、試料の成分ごとに固定相への分配係数や吸着力が各々異なるために、移動相中に移動速度の遅延が生じて相互に分離されてくることを応用します。

 50s

固定相の充填剤は、分離性能が向上し今では化学分析に欠かせない分離分析法となっています。

クロマトグラフィーにおける検出器は、分析対象により適切な組合せが色々と選択できるようになっており、質量分析装置,赤外吸収法などの分光測定装置との組合せにより,より高感度な分析が可能となっています。

 

移動相の違いによってクロマトグラフィーは次のように分類されます。

① ガスクロマトグラフィー

② 液体クロマトグラフィー

③ カラムクロマトグラフィー

④ ペーパークロマトグラフィー

⑤ 薄層クロマトグラフィー

⑥ 超臨界流体クロマトグラフィー

 

カラムクロマトグラフィーは、クロマトグラフィー管と呼ばれる長いガラスチューブ内に固定相として充填剤をカラム状に充填し、一方の側から試料を導入します。

試料を気体若しくは液体の移動相を用いて流下させると,試料に含まれる分析対象の分子は充填剤に吸着されたり、充填剤表面に塗布された液体に溶け込んだりしながら帯状のゾーンを形成してカラム内を移動していきます。

分離された試料のゾーンは、カラム出口から配管によって検出器に導かれ、経時的に信号が記録されます。

時間軸に対して信号強度を記録したグラフは、クロマトグラムと呼ばれ、試料の成分ごとの帯は、ピーク状となって表示されます。

  

分離法の原理により分類すると

① 分配クロマトグラフィー (溶解度)

② 吸着クロマトグラフィー (吸着力)

③ イオン交換クロマトグラフィー (静電的相互作用)

④ アフィニティークロマトグラフィー (バイオアフィニティー)

⑤ ゲルパーミエーションクロマトグラフィー (分子サイズ)

 

電気泳動法

 

電気泳動とは、溶液中の荷電物質が電場の中を移動する現象を言います。
分析対象となる荷電物質は、ペプチド・タンパク質・核酸など、水溶液中でプラス若しくはマイナスの荷電を持つ物質です。

水溶液中では試料が拡散してしまうため、支持体として膜やゲルの中を荷電物質が移動する形態をとります。

支持体中の試料は、直流電場下で、形状・荷電状態・分子量等に応じて反対の電極へ向かって移動しますが、その移動速度が物質によって異なることにより各々が分離されます。

支持体となるアガロースゲル又はポリアクリルアミドゲルは、その網目状立体構造により試料に対し分子ふるいの役割を担います。

57s

小さな分子は速く、大きな分子は遅く移動するため分子量に応じた分離が可能となります。

移動距離と分子量は、反比例するので分子量の決定も可能です。

この分離原理を利用して、分子量、等電点や純度、各成分の量・精製等に利用され、タンパク質や核酸の主たる分離・分析法となっています。

 

分離の原理法としては

① ゾーン電気泳動法

② 等速電気泳動法

③ 等電点電気泳動法

等があります。

 

方式としては、

① ゲル電気泳動法

② キャピラリー電気泳動法

があります。

ゲル電気泳動法は、核酸やタンパク質のサイズ分離に必須であり、キャピラリー電気泳動法は、超微量高速分離法として進歩しています。